「チームづくり きほんのき」まとめ(自治体の気候対策をすすめたい方のためのゼロエミ講座)
2023.07.26
自分が住んでいる自治体の気候対策をすすめたい方のための、ゼロエミ講座「チームづくりきほんのき」を開催しました(2023年7月22日)。
参加できなかった方のために、まとめをお伝えします。
個別の出前講座をご希望の方は、事務局までご連絡ください。
●当日の投影スライドはこちらからご覧いただけます。
●まとめの下方にて、参加者アンケートにていただきましたご意見をご紹介しております。
目次
チームづくり体験談
チームづくり体験談をご紹介しましょう。
千葉県のいすみ市では、最近「いすみで気候変動を考える会(仮)」を立ち上げました。
議員と話す際、たびたび言われたことが、「ひとりより、多数の意見の方が”市民の声”として取り上げられる。仲間をつくること」ということでした。
グループを作ろうと思いながらも、しばらく立ち上げられないままでしたが、
はじめないと、はじまらない、と思い、勢いで立ち上げました。
まずFBページをつくり、いすみ市の温暖化対策実行計画や、太陽光発電などの資料の共有など、少しずつ投稿をしています。
グループに参加してくれた方もいます。
今後ゆったり気候変動についてお話しする会や、まったり温暖化対策実行計画を読む会など、開催していく予定です。
ゼロエミの大田区のりほさんは、最初はひとりで、そのうちにゼロエミのスラックにもうお一人が参加されて、
ゼロエミ事務局がお繋ぎして、二人で定例会を開いて、二人での活動がはじまりました。
なかなか仲間が増えない状態でしたが、いま、読書会というのを開いています。
そして、読書会がきっかけで、お二人、スラックに参加してくださったそうです。
読書会を開いていることで、出会った方に「気候変動に取り組んでいます。読書会やってるのでよかったらきてみてください」と言える、
実際に参加してもらえる場があることで、活動の紹介だけに終わらないで、ここにきて、という場がある、それがいつもあるというのがよかった、とおっしゃっています。
読書会は、行政への働きかけなどをする活動より参加のハードルが低いため、まだ気候変動のことあんまりわからない…という人へも声がかけやすいとのことです。
また、読書会でなにをしているかというと、雑誌の中に出てくるトピックスから、それを自分の生活や、自治体でどうやって取り組めるか?を話しているそうです。
例えば電力会社どうしてる?という相談から、実際に自分の自治体で再エネの会社を調べてパワーシフトする方がいたり。食がテーマになったときは、コンポストの話題が出て、実際にコンポストを始められた方がいたりしたそうです。
また、大田区ので参加者を募ったことで、オーガニック野菜がなかなか手に入らないことを相談したところ、近隣での情報を他の参加者の方から教えていただき、選択肢を増やすことができたとのことです。
一人で取り組んでいると、なかなか良い方法が見つからず、始められなかったり継続が難しいこともありますが、読書会を通して、ざっくばらんに情報交換することで、もっと良い方法が見つかり、そこから新たなアイディアも生まれるとても有意義な時間をつくれている、とのことでした。
アクションやイベント
「ゼロエミッションを実現する会・横浜」はどのようにつくられたかをお話します。
きっかけは、ゼロエミに参加した方がゼロエミッションを実現する会のslackというコミュニケーションツールに仲間をさがしていますと投稿したことでした。
事務局が、他の環境コミュニティに、横浜のメンバーがいることをお伝えし、その方が、横浜の方に、チームつくりませんか?とお声がけをして、ミーティングをして、3人のグループができました。
4人目の方は、ゼロエミ横浜が開いたイベントがきっかけです。
参加者アンケートに「ゼロエミ横浜の活動に興味ありますか?」という項目を設けて、
そこにチェックを入れた方に、ゼロエミ横浜から、
一度ミーティングにいらっしゃいませんか?と連絡をしたのがメンバーに参加したはじまりです。
そしてその方が、生活クラブのメンバーさんだった関係で、ゼロエミ横浜を生活クラブの地域のグループのイベントに呼んでいただきました。そして、そこで発表を聞いた方が、また参加してくださいました。
このようにイベントをすると仲間が増えるきっかけになります。
講演会のようなかちっとしたイベントでなくても大丈夫です。
イベントを開催した際に、必ず、参加者とのちのち連絡がとれるように、
これからも連絡をしたいので、連絡先を残してもらえますか?として、連絡先をもらうことが重要です。
そうすれば、会議などに誘うことができます。
Facebookやインスタを開設
ゼロエミ横浜のメンバー、もうひとりは、google 検索で、「温暖化 横浜」と検索して、ゼロエミ横浜のFBグループにたどりついたそうです。
このことは、とりあえず、Facebookグループなど、ネットの世界に登場しておくことの重要性を示しているのではないかな、と思います。
FBグループやInstagramの開設の仕方
Facebookやインスタグラムの開設は、そこまで難しくありません。
「Facebookグループを作成するにはどうすればよいですか」で検索するとわかりやすく教えてくれています。
インスタグラムも、インスタグラムと検索してアプリをダウンロード、指示に従えばできます。
むずかしいのは続けて投稿することです。
でも、とりあえず、あけておいて、投稿はこういうのが得意な人がメンバーにお願いすることも一つの方法です。
ひとりでもできた
チームでできることもありますが、ひとりでできることもたくさんある、ということもお伝えしたいと思います。
たとえば、立川のみゆさんは、ひとりで自治体アクションをはじめていました。
自治体のウェブサイトを見たら、環境審議会の配布資料が掲載されていなかった。それがなければ、何をもとに審議がなされたのかがわからない。それがわからなければ、何が問題なのかもわからない。みゆさんは自治体に、資料の公開を要望しました。立川市長からの返事は、「環境について広く市民に関心を持っていただくために、資料についても公開することにいたします」というものでした。
●立川市のみゆさんのサクセスストーリー(instagram)はこちらをご覧ください
もうお一方は、新座市のりなさんです。
まず、りなさんは、新座市の現状把握から始めました。環境基本計画や、地球温暖化対策地域推進計画を調べたところ、気候変動対策が進んでいない状況であることがわかりました。
この実態を踏まえ、最初のステップとして重要と思われる「ゼロカーボンシティ宣言」を求めようと考えました。
※ゼロカーボンシティ宣言:2050年までに排出する温室効果ガスを実質ゼロにするという宣言
そして、りなさんは、ゼロエミッションを実現する会に、アプローチの方向性を相談してくれました。
一緒に調べていくなかで、最大会派の代表者が、過去に議会で「ゼロカーボンシティ宣言」を提案していたことがわかり、その議員にまずはアプローチすることにしました。
りなさんは、一人でアポをとり、電話で。気候変動の現状と、「ゼロカーボンシティ宣言」を請願書で出すために協力してほしい旨をお伝えしたところ、宣言に至るまでには、さまざまな「壁」があると言われ、よいお返事はいただけませんでした。
しかし、その後も粘って、わたしと、他の自治体で活動している方も同席して、ミーティングをもってもらいました。同席してくださったのは、お仕事で企業のコンサルテーションなどもなさっているメンバーさんで、コストをかけずにゼロカーボンを達成するやり方など、宣言を出すうえでの「壁」は厚くないことやメリットをお話ししていただきました。その結果、陳情という条件で、協力してくれることになりました。
陳情書は、ゼロエミの方が過去に提出されたものを参考に書きました。そして、その議員に意見をもらって、連絡先が公開されている議員全員に採択のお願いを主にメールで行って、陳情の審査を行う委員会の全議員と、政策に気候変動・環境問題を掲げている議員には、思いが伝わるまでアプローチを続けたそうです。
陳情書提出の際には、議員と事前にアポをとり、採択のお願いをしました。すべての会派をまわることはできませんでしたが、議会事務局の方が、資料を作成すれば渡すと言ってくださり、資料を作成したとのことです。
陳情書の審査日には、陳述ができることになっていましたが、時間が限られ、また配布資料を複数部、自分でコピーしなければならなかったため、印刷代や紙削減を考慮し、事前にA4サイズで10枚分ほどの資料を、審査される委員会の議員全員にメールでお送りしました。その資料には、気候危機について、議論の参考にしていただくための、ゼロカーボン達成に向けた具体策、陳情にかける思いを詳細に記しました。なお、陳述の場で配布する資料は、その事前の配布資料からピックアップした要点を、2枚に収めたものにしました。ちなみに、陳述では時間内に陳情内容を正確に述べられるよう、原稿を作成しました。
そして審査の日、全ての会派からの賛同を得て、「ゼロカーボンシティ宣言」を求める陳情が採択されました。
その地域ではたったひとりでも、他の地域の仲間からのサポートで、成果をあげることができる、そういう事例だと思います。
●新座市りなさんのサクセスストーリーはこちらをご覧ください
チームができたら
チームができたら、成功を導くチームにするために、コミュニティ・オーガナイジングという手法をご紹介します。
画面にあるのは、書籍です。ほしいミライをみんなで作る5つのステップ、とあります。
その5つのステップは、
・これをめざす、これをしたい、というストーリーを共有する
・価値観でつながる関係構築をする
・そして成功を導く、モチベーションの高い、団結した、みんなの力を発揮できるチーム構築
・チームメンバーの強みを生かしたり、どんな人たちを仲間にしていくかを明確にした戦略づくり
・具体的な行動計画の立案
です。
コミュニティ・オーガナイジングのメソッド全体についてくわしくは、ぜひ、こちらの書籍をご覧ください。
コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンという団体が、この手法のトレーニングを企画運営しています。
みんなの約束事(ノーム)を決めましょう。
グループ内で、これはまもろうね、という決まりをみんなでつくります。
上から言われるルールではなくて、みんなで考えてつくる決まり、ノームと呼んでます。
意思決定の方法や運営方法をみんなで決めて、明文化することで、みんなで守もるようにします。
〔例〕ゼロエミ横浜のノーム
・正直な気持ち(疲れたとか、もやもやするとか、反対っぽい意見等)を安心して言えるようにする。
・できるって言ったらやる。もしできなくなっちゃったら、それをちゃんと途中でも言って助けを求める。
・特にチームに入りたての人は、メンバーの聞きやすい人に個別に分からないこと聞いてOK。質問された人は丁寧に対応する
・どんな理由でも休んでOK
とても大切なこと、それは、お祝いです。
「プラン、ドゥ、チェック」というのがありますが、チーム力を高めるサイクルは
「プラン、ドゥ、お祝い」です。
一連のプロジェクトが終わったら、評価とお祝い、全員に感謝を示す、をやります。
わすれがちなので、かならず、やりましょう。
たとえば、イベントを企画したとき、誰もやりたがらなかった司会をひきうけてくれてありがとう、など具体的に感謝のポイントをいって、ねぎらいます。
あなた個人ができること
気候活動家のグレタトゥーンベリさんのことばを紹介します。
個人でできることありますか?という質問にグレタさんは著書にこうかかれています。
「活動家になること」
「民主主義を守るために、闘い、発展させ、拡大すること」
活動家になるということは特別なことではなく、すでにある市民参加のしくみを使っていくことだと思っています。
また、ナオミ・クラインさんは、個人でできることありますか?と聞かれて、「なにもない」と答えているそうです。
つまり、一人ではなく、連帯して活動することが大事だよ、仲間といっしょになってシステム・チェンジ—法律をつくる、しくみを変える—そういうことが大事だよ、という意味です。
自治体アクション、やってみよう
今回開講しましたゼロエミ講座「きほんのき」。
自治体アクションをするにあたり、知っておきたい基礎知識をぎゅっとまとめて解説してきました。
ゼロエミッションを実現する会のブログにて、過去3回の講座内容まとめを掲載しています。
ぜひご覧ください。
●〈その1〉「気候変動きほんのき」まとめ:https://zeroemi.org/cc_basic/
●〈その2〉「地方自治体きほんのき」まとめ:https://zeroemi.org/municipalities/
●〈その3〉「自治体アクションきほんのき」まとめ:https://zeroemi.org/action-for-municipalities/
そしてぜひ、自治体アクションを身近に感じていただき、自分でもやってみよう、と思っていただけたなら、とても嬉しいです。
不安なこと、わからないことは、ぜひ事務局メンバーまでお気軽にお問い合わせください。
ゼロエミッションを実現する会では、ベースは、SNSのFacebookグループとslackを活用しています。
Facebookグループは情報共有・情報交換を目的としており、slackは、例えば港区、横浜市、など、お住まいの自治体や、ご自身が関わりたい自治体のメンバーと細かなメッセージのやりとりを行うことを目的としています。
どちらにも参加、どちらかだけ参加、どちらもOKです。
●アンケートにていただきましたご意見をご紹介いたします。よかった点は励みになりますし、改善点は、改善につなげています。今後もぜひ、ご意見をお寄せください。
〔よかった点〕
・Facebookグループの作成が効果あるというので、取り組めたらと思いました。 (井上 悦子さん)
・議員などの政治家に実際に聞いた方の話しを聞けた。 (矢本 深志さん)
・元気をいただけました。 (E. S.さん)
〔改善点〕
・特にありませんが、事前資料があると良いと思いました。 (井上 悦子さん)
・ゼロエミッションに向けてはどんなことを具体的に行おうと考えているのか、すぐに調べられるリンクがあると良いかも知れません。 (矢本 深志さん)
〔その他の感想〕
・いろいろなアドバイスがとても参考になります。今回は、分野別の排出量が自治体で変わるので、データは重要ですね。ありがとうございます。 (井上 悦子さん)
・放課後の時間が、より自由な感じで他にない事で良いと思います。 (矢本 深志さん)
・際に活動を始めている方々が沢山おられるとわかり、感銘を受けました。 (匿名の方)
ゼロエミッションを実現する会では、市民からの自治体・議会へのアプローチを行っています。
今まで取り組んだことのない方でも大丈夫。
「ゼロエミッションを実現する会」には、たくさんの仲間がいます。
ご参加リクエストをお待ちしています!
Slackは、地域別チャンネルを中心に具体的なアクションを行うコミュニケーションツールです。
Facebookグループは、アクションのための情報交換を行うグループです。