「地方自治体 きほんのき」まとめ(自治体の気候対策をすすめたい方のためのゼロエミ講座)
2023.07.10
自分が住んでいる自治体の気候対策をすすめたい方のための、ゼロエミ講座「地方自治体きほんのき」を開催しました(2023年7月8日)。
参加できなかった方のために、まとめをお伝えします。
個別の出前講座をご希望の方は、事務局までご連絡ください。
●当日の投影スライドはこちらからご覧いただけます
●まとめの下方にて、参加者アンケートにていただきましたご意見をご紹介しております。
目次
地方自治体とは
地方自治体とは、私たちが住む、都や県、市区町村などですね。
自治をおこなうことを認められた地域の団体です。
地方公共団体ともいいます。
「自治」というのは、自分たちのことは、自分たちでやる、ということですね。
自らルールを作ったりして治めています。
議会と行政
「議会」とは、選挙で選ばれた議員が、条例の制定や予算の議決などを行うところです。行政の監視や、行政の行うことについて、調査をするなどの役割もあります。
「行政」は、議会で決めた条例や予算にもとづいて政治を実際に行うところ、予算を使うところです。
議会は住民の声を行政に反映させるためにある
住民は、選挙で議員や首長を選びます。
首長は一人ですが、議員は自治体の人口によって決められた人数がいます。
多様な意見をもつ、住民の代表であり、その多様な意見を反映させるために議会があります。
行政はくらしのあらゆるサービスを提供
「行政」が具体的にやっていることは、治安や消防、水道や交通などのライフライン、教育・文化事業、税務、くらしに関するサービスです。また、公害防止や対応、地域経済の振興もになっています。
気候対策についての計画
自治体にはさまざまな計画があります。その中で、もっとも気候変動と関係が深いのが環境基本計画や地球温暖化対策実行計画です。名前は、自治体によって「エコプラン」や「ゼロカーボン戦略」などさまざまです。地球温暖化対策実行計画は、温室効果ガス排出量の削減に向けた総合的な目標と施策をまとめた文書です。地域全体についての地域施策編と、公共施設についての事務事業編があります。
温暖化計画に書かれていること:目標、対策など
地球温暖化対策実行計画はだいだい80ページから150ページ前後で、目標や対策のほか、温室効果ガスがどこから出ているか、なども書かれているので、ぜひ、読んでみてください。
計画にどのような内容を盛り込むべきかは、国の「地方公共団体実行計画(区域施策編) 策定・実施マニュアル」に詳しく書かれています。
予算:予算要望をすることをおすすめします
予算のつくられるサイクルを大まかにいうと、夏に大きな方針がでて、秋に予算編成方針がでて、冬に庁内予算要望がでて、新年に首長の査定が入り、議会審査を経て、決定、となります。
すべての事業に「脱炭素」の視点がきちんとはいるよう、要望することをおすすめします。
条例:気候対策の強化を条例改正で
多くの自治体に環境条例や、地球温暖化に関する条例があります。20ページくらいのものから、数百ページにわたるものなどいろいろです。東京そして神奈川県川崎市では、関連する条例の改正で、
太陽光発電設備の義務化が含まれました。ほかの地域の条例も、改正を重ねて、規制の強化をはかっています。太陽光の義務化や、断熱規制は各地で取り入れたいところです。
いろいろな市民参加のしくみ
自治体には、市民参加のしくみがいろいろあります。住民の声を届ける方法に、市長への手紙、行政の事業担当課への陳情や、要望、議会への請願や陳情があります。また、行政が主体として行う方法として、アンケートや市政モニター、パブリックコメントなどの手法があります。さらに、住民を代表する団体や事業者などを委員に指名する、審議会や委員会があり、こうした会議の傍聴も市民参画のひとつです。審議会の委員を、市民から公募するという仕組みのある自治体もあります。
アンケート/モニター
アンケートや市政モニターは、希望する有権者や在住者、通勤・通学者に、市区町村の政策に関するアンケートが届き、そのアンケートの結果をもとに、政策の変更・改善を行なっていく仕組みです。
住民説明会
住民説明会は、政策を新たにする際、行政と地域住民が顔と顔をあわせ、双方向のコミュニケーションを通じて相互理解を深めることができる場を設ける仕組みです。(本来)
議会・審議会などの傍聴
わたしたちが選んだ代表たちが、どんな議論をしているのか、選んだ市民がしっかり見届けることは大事です。けれど、平日の昼間に傍聴できる人は、なかなか少ないのかなと思います。
自治体により、ウエブで傍聴できるシステムを採用していたり、こちらの写真のように「親子傍聴室」を設置していたり、なるべく多くの人に傍聴してもらえるように、様々な工夫があります。
ぜひ、傍聴してみてください。(申し込みが必要な場合もあります)
審議会公募委員への応募
審議会には多くの場合、一般的に、市民公募という仕組みがあり、一般市民でも審議会の一員になり意見を出すことができます。
パブリックコメント
パブリックコメントとは、事業や条例などを決めるとき、事前に広く意見を募って実施に反映する仕組みです。
手紙・提案・意見などの提出
首長・行政へ、手紙・提案・要望を出すしくみもあります。(スライドは横浜市の例)
多くの自治体で、ウェブサイトから手軽に送ることができます。
議会への請願・陳情
自治体の政策などへの意見や要望を提出する手段に、請願・陳情があります。
それぞれ請願書・陳情書として議会に提出します。
通常、請願の際は議員の紹介が必要です。陳情は議員の紹介は必要ありませんが、議員への配布のみなど、審議のプロセスは自治体ごとに異なります。
市民参加のしくみを使って、気候対策をすすめよう
いままでみてきたような、いろいろあるしくみを使って、自治体の気候対策をすすめていきましょう。
次回は「自治体アクション きほんのき」です。
ぜひ、ご参加ください。こちらから
●アンケートにていただきましたご意見をご紹介いたします。よかった点は励みになりますし、改善点は、改善につなげています。今後もぜひ、ご意見をお寄せください。
〔よかった点〕
- 説明がゆっくりで丁寧でわかりやすかったです。 (橋本 容子さん)
- これまで「請願」や「陳情」の違いも知らなかったので、基礎的な部分をわかりやすく解説していただけました。 (長濱 慎さん)
- タイトルの通り、地方自治体のきほんのきの説明がよくわかりました。請願、要望などの違いがよく分かっていなかったので、助かりました。 (小林 みどりさん)
- 自治体の仕組みや予算編成、市民が自治体に働きかけるアクションなどなどについてこんなにうまく整理してくださってとてもわかりやすかったです。 (藤川 まゆみさん)
- 自治体の一年の動きの解説。他もいろいろ勉強になりました。 (匿名の方)
- 分かりやすかったです。 (匿名の方)
- 議会への請願などのタイミングがわかってよかった。発言の内容がよかった。 (匿名の方)
〔改善点〕
- すでに実践していたらすみません。プレゼンで使った資料は参加者皆で共有できると良いですね。 (長濱 慎さん)
【事務局より】
→ご意見ありがとうございます。上記で共有しています。ぜひ、ご活用ください。
- もう少し時間を長くとれるといいかと思います。せめて1時間半… (小林 みどりさん)
【事務局より】
→ご意見ありがとうございます。次回は「放課後」を設けています。ぜひ、ご参加ください。 - 1時間で終わるのがいいところですが、皆さんの背中を押すにはもう少し発言してもらう時間があった方がよいような気がします。あと30分、ざっくばらんに話せる放課後を設けてはどうでしょうか? (藤川 まゆみさん)
【事務局より】
→ ご意見ありがとうございます。次回は「放課後」を設けます。ぜひ、ご参加ください。 - 特にありません。 (匿名の方)
〔その他の感想〕
- 東京都の太陽光パネル設置義務化など、市民の声が具体的な成果に表れていることに、勇気づけられました。 (長濱 慎さん)
- 「ゼロエミッション」「脱炭素」が叫ばれるあまり、弊害が出ていることが気になっています。希少な野生生物がすむ自然を破壊し、住民の生活や健康を脅かす可能性があるメガ風力・メガソーラーの問題です。これらの事業は多くの場合、(いろいろな意味で)“悪質な”業者によって行われているようです。とにかく「ゼロエミッション」にこだわり、この問題にきちんと取り組めない自治体も多くみられるようです。最近になって「ネイチャーポジティブ」が謳われるようになり、これから風向きが変わるかと思われますが、貴会はこの点についてどうお考えになりますでしょうか? (小林 みどりさん)
【事務局より】
→ ゼロエミッションを実現する会は、さまざまな考えの市民が集まっているプラットフォームです。会としての見解ではなく、事務局の考えになりますが、住民の生活や健康を脅かす可能性のある電源は設置されるべきではなく、再生可能エネルギーであっても、環境評価や住民合意が大切であると思います。ネイチャーポジティブを広めたいですね。 - 自治体の職員の方もどうすればよいか模索中だと聞いたことがあるので、具体策などどんどん出していければよいなと思っています。 (匿名の方)
- 若い人が事務局でいいな。 (匿名の方)
ゼロエミッションを実現する会では、市民からの自治体・議会へのアプローチを行っています。
今まで取り組んだことのない方でも大丈夫。
「ゼロエミッションを実現する会」には、たくさんの仲間がいます。
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