アクションブログ
「ゼロエミションを実現する会」の活動や関連する情報をブログで紹介しています。
随時更新していますので、ぜひ、チェックをしてみてください。

「気候変動きほんのき」まとめ(自治体の気候対策をすすめたい方のためのゼロエミ講座)

2023.07.03

自分が住んでいる自治体の気候対策をすすめたい方のための、ゼロエミ講座「気候変動きほんのき」を開催しました(2023年7月1日)。

参加できなかった方のために、まとめをお伝えします。

個別の出前講座をご希望の方は、事務局までご連絡ください。

  

●当日の投影スライドはこちらからご覧いただけます

●まとめの下方にて、参加者アンケートにていただきましたご意見をご紹介しております。

目次

気候災害の被害

世界の気象災害の数は過去50年間で5倍に増加しています。
そして過去50年間に200万人以上が死亡し、経済損失は3兆6400億ドル、日本円で約400兆円に達しています。
日本の国家予算が年間100兆円強ですから、その約4倍の額にあたります。

また、気象災害による死者の90%以上は、発展途上国で確認されているとのことです。

(WMO世界気象機関報告書より)

1.5℃の約束

気候変動に関する国際的な枠組みであるパリ協定(2015年)にて、世界共通の長期目標として、
世界の平均気温上昇を、人間の経済活動が始まる産業革命前と比べて「2℃を十分下回り、できれば1.5℃に抑える」ことが合意されました。

その後、第26回気候変動枠組条約締約国会議、COP26(2021年)にて、1.5℃に抑えることが事実上の目標となりました。

1.5℃上昇と2℃上昇とでは、人類、動物、生態系への被害に大きな差があるためです。
1.5℃でさえ大変な被害なので、それ以上の温度上昇は避けなければなりません。

すでに1.1℃以上上昇、今世紀末までに5℃以上の可能性

温室効果ガスの排出の急激な増加により、現在すでに気温は1.1℃上昇しています。

最悪の気候影響を回避し、住み続けられる気候を維持するには、世界の気温上昇を1.5℃に抑えることが必要不可欠です。
しかし、このまま化石燃料を使いつづけると、今世紀末までに地球温暖化は5℃以上に及ぶ可能性があります。

炭素予算:これだけしか出せないCO2の量は決まっている。このままでは、使い果たしてしまう。

気温上昇をある一定の数値に抑えようとした場合、その数値に達するまでに「あとこれだけしか出せない」というCO2の量の上限を「炭素予算」といいます。

1.5℃をまもるために、今、あとどれだけあるかというと、だいたい4,000億トンになります。
世界は、これから出していく二酸化炭素を、この炭素予算内に抑える必要があります。

いま、世界中で1年に400億トンくらい出していますから、2030年までに使いきってしまうことになります。つまり、2030年までには1.5度を超えてしまうということです。

多くの自治体による2030年目標「46%削減(2013年度比)」は炭素予算大幅超過:1.5℃に整合せず

では、日本はどれだけ減らしたらいいのでしょうか。

日本は2030年までに2013年と比べて46%削減するとしていますが、
国際的な科学者によるプロジェクト「クライメート・アクション・トラッカー」は、それでは「1.5℃目標は達成できない」と指摘、日本は60%以上の削減が必要であると提言しています。

2030年までの削減目標を決める際、よくあるのが、現状の排出量から2050年まで(2050年にゼロになるよう)、まっすぐ線を引いて、直線的に減らすことを目標とするケースです。
このまっすぐ線の場合、2030年に60%削減とした時と比べて、多くCO2が排出されてしまい、1.5℃に抑えるために許される炭素予算を大幅に超えてしまいます。

2030年に向けてぐっと減らす船底型(L字型)の曲線で目標を定めることが必要になっています。

解決策はすでにある:省エネと再エネ

気温上昇を2030年以内に1.5℃までに抑えるための解決策は、建築物の断熱・気密を高めること、そして、エネルギー効率のよい機器の導入・更新、つまり省エネと太陽光や風力などの自然エネルギーを利用した再生可能エネルギーの導入・拡大です。

自治体こそができる省エネ・再エネ施策

自治体は、大幅なCO2削減のために、いろいろな施策を打てます。

公共/域内建築物の断熱・気密、再エネ設備設置でネットゼロエネルギー化をすすめる、公共/域内建築物で使う電気を再エネにする、再エネで電気をつくる、交通の脱炭素化をすすめる、域内企業の脱炭素化(報告書制度の実施と強化など)を促すなど。

建築物のネットゼロエネルギー化を自治体の力で

建築物のネットゼロエネルギー化とは、

省エネルギー(断熱・気密、省エネ機器の導入・更新など)と創エネルギー(太陽光パネルを屋根に載せるなど)で、使うエネルギーと創るエネルギーでプラスマイナスゼロにすることです。

これを住宅の場合にはZEH(NETZERO ENERGY HOUSE)、ビルの場合は、ZEB(NETZERO ENERGY BUILDING)といいます。

また、国のZEBの定義には、ほんとうのプラスマイナスゼロの『ZEB』以外にプラスマイナスゼロにはとどかないNearly ZEB、創エネなしのZEB Readyなどがありますので、注意してください。

自治体内の電気を再エネに/再エネで電気をつくる

自治体で、その自治体内の住民や企業が使う電気を再生可能エネルギーにすることも、有効な解決策のひとつです。

たとえば、公共施設で使う電気を再生可能エネルギー100%にする、と計画で決めたり、企業や家庭でも使う電気を再エネにすることを条例などで決まりにすれば、再エネが使われるところが増えて、化石燃料頼りの発電を減らすことができます。

電力確保先として、再生可能エネルギーの施設を持っている自治体と連携するのも有効です。

農業をしながら太陽光発電も行う「ソーラーシェアリング」を進めるのも、規制の緩和など自治体ができることがあります。
屋根置きソーラーの標準化は条例などで定めることもできます(東京都や神奈川県川崎市で決定済み)。

自治体自身が、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの施設を設置することもできます。そのとき、初期費用0円のしくみもあり、もっと活用してほしいと思います。

交通のネットゼロエネルギー化も自治体の力で

交通のネットゼロエネルギー化にも自治体が大きな役割を果たすことができ、さまざまな政策があります。
・公共交通機関の利用拡大
・あらゆる自動車のEV・電気自動車化、そして充電施設などのEVインフラ整備 
・必要な場所に歩いていくことができる「コンパクトシティ」など

域内企業のCO2削減も自治体が促せる

域内の企業のCO2の排出削減も、自治体が促せる制度があります。

「地球温暖化対策報告書制度」と呼ばれ、30都道府県、13市・区で導入されています(2019年末時点)。
自治体、地方公共団体が、事業者・企業に対して温室効果ガス排出量や削減策等を計画書・報告書にし、提出することを定める制度です。自治体が、企業の排出の実態を把握できれば、支援も効果的なものになるでしょう。また、がんばった企業の表彰制度を設けている自治体もあります。

市民は自治体を後押しできる

自治体には市民が参画できるしくみがあり、それらを使って、自治体が解決策を進めるよう、後押しできます。

そのためには、自治体のしくみを学びましょう。
ゼロエミ講座 その2は「地方自治体きほんのき」です。

   

●アンケートにていただきましたご意見をご紹介いたします。

〔よかった点〕

  • 受講前の段階では、気候変動に関する知識が乏しいため、どのような事象が、どのぐらいの規模で発生しているのか、いまいちイメージが湧いていない部分が多かったです。しかし、本日の講座を受講させていただきまして、現在直面している状況と今後やるべきことが、大まかではありますが、把握することができました。ありがとうございました! (野澤 大介さん)
  • 世界の目標、現状、データ、はたらきかけ、とトータルで全体像をコンパクトに解説。特になぜ日本が60%以上削減しないといけないのかの根拠の表現は参考になりました。 (藤川 まゆみさん)
  • 司会進行の方が初々しくて好感が持てた。前半、その分ぎこちなかったが後半慣れてこられたようで、今後に期待します。 (橋本 正明さん)
  • 日本の課題、自治体の成功例をコンパクトに解説いただいたこと。 (S. Y.さん)
  • スライド、表が見やすかったです。また本当に基本的なことから丁寧に説明してくださったので、小学生の妹も一緒に聞いて知識を深めてくれました。 (I. T.さん)
  • 基本的なことを学べました。わかりやすい伝え方でした。次回が楽しみです。 (S. M.さん)
  • 現状やわたしたちができることについてデータを用いてわかりやすく解説されていた点と質問に丁寧に答えられていて好感をもちました。 (M. O.さん)
  • 基本がよく理解出来ました。 (O. A.さん)
  • 自身の活動の中で気候変動の基本をレクチャーする機会があるのですが、そのレクチャーの内容を考えるのに、今回の講座は本当に参考になりました。 (匿名の方)
  • 気候変動の現状と課題だけでなく、具体的な解決策と「あなたできること」を教えていただけたことが良かったです。社会システムを変えるために自分にもできることがあるんだ、と思えたことで、少し未来に希望が持てたような気がします。 (匿名の方)

     

〔改善点〕

  • ①質問はなんでもOKではなく、今回のテーマに沿った質問が出やすい誘導が必要と思いました。幅広い質問に短時間で答えるのはたいへんです。(もちろんいろいろな角度の質問も歓迎なのですが。)
    ②自治体への働きかけは「こうしてほしい」という『声』だけでなく、「わたしたちはこういうことをやっている。やってみた。」と『アクション』を起こしながら働きかけることで、信頼関係を作りやすく、自治体の背中を押すチカラをパワーアップさせ、物事が動くスピードを加速させることができると思います。「ゼロカーボン・気候変動勉強会」「太陽光発電導入のメリットデメリットの勉強会」「断熱ワークショップ」など、比較的簡単に開催できます。講師は方向性の近い専門家を呼べばいいですし(ゼロエミの会が紹介するのはどうでしょう)、参加者同士の対話の時間を設けると自分ごとになる効果が上がります。また、自治体職員に参加してもらうことが肝心です。共催や後援を依頼するといいでしょう。自治体はゼロカーボンに向けて何かやらないといけないと焦っていますが、イベントなどの企画はあまり得意でないので乗ってくるはず。そしてポジティブな働きかけ(エール)だと理解してもらえたら今後タッグを組めるようになるかもしれません。そういった『市民の具体的なアクション付きの自治体アクション』(長い…笑)も取り上げていただければと思いました。 (藤川 まゆみさん)
  • 初回ということもあり、最初(司会も参加者も)ぎこちなかった。後半は持ち直したので盛会となったと思っております。 (橋本 正明さん)
  • ビデオや音声の有無を書いてくださると参加しやすいです。また、資料を後ほど配布するとおっしゃていましたがいつ頃になるか知りたかったです。 (M. O.さん)
  • 全国の自治体の職員(若手)にも参加して欲しいですね (O. A.さん)

     

〔その他の感想〕

  • 継続したパワフルな活動に感謝しています。そしてどんどん若い世代が育っておられてすごい! (藤川 まゆみさん)
  • 本日は比較的自由に情報提供や意見など発言させて頂き、ありがたく思います(市民科学者育成に関する企画の宣伝について、控えめにアピールさせて頂けた点を含めまして)。
  • 差し支えなければ、今後もこのようなスタンスで参加させて頂ければと思います。引き続き宜しくお願い致します。 (橋本 正明さん)
  • 分かりやすいお話をありがとうございました。2回目以降も楽しみにしています。 (S. Y.さん)
  • ゼロエネルギーコンパクトシティなど、恥ずかしながら初めて知る用語が多かったです。世界各国に比べて、日本の取り組みの遅れや意識が低いのは、日本人の環境問題に関する知識の薄さや無知からきていると考えています。今回の講座で私が学んだことを、自分の周りにシェアしていこうと思いました。本日はありがとうございました。 (I. T.さん)
  • 会の目的がよく分かったと思います。参加されてる方の質問が、私には難しいこともあったのですが、勉強になりました。個人の力の無力さを感じていましたが、よその自治体でパブリックコメントにより対策が強化された話も聞けて勇気をもらいました。地域ごとに活動しているチームもあるとのことで、合流できたらいいなと思いました。Facebookもスラックもちょっと使い方がわからないのですが、頑張ってみます。 (S. M.さん)
  • とても参考になりました。省エネ機器の導入や太陽光パネルの設置は難しいですが、自治体へ要望を出すことに興味を持ちました。以前に「パブコメを書く会」を開催されていましたが、自分のような初心者が手を出すべきではないかなと思い参加しませんでした。個人でできることには限界がありますし、時間があればコミュニティへの参加を検討してみたいです。 (M. O.さん)
  • 各自治体の取組の状況(ゼロエミッション実施状況)の一覧があったら教えてください。 (O. A.さん)
  • 地元で気候市民会議をやりたいと思っています。そのプレイベントとしてミニ気候市民会議を企画しています。今回の講座は、そのイベントでのレクチャー部分の内容を考える上で大変参考になりました。また、上記活動を今はほぼ一人で準備しているので、活動したいと思う人と繋がれたらなあというのが課題です。 (匿名の方)
  • 同じ不安や問題意識を持った仲間が集まって、情報共有しながら活動できるのはとても素晴らしいと思いました。会に参加したい気持ちがありますが、普段仕事等で忙しいことが多く、充分に参加ができるか不安です。どれくらいの頻度で参加ができれば良いなど、目安がありましたら教えていただきたいです。 (匿名の方)

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