国が学校の断熱改修をおすすめ
2024.03.28
文部科学省が「学校施設のZEB化の手引き」を発行しました。学校の断熱改修や、屋根置き太陽光発電設備を求めるときに、とってもお役立ちの資料です。こちらからダウンロードできます。https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/ecoschool/detail/mext_02655.html
全30ページで、新築や改修のZEB化事例が5件、詳しく掲載されています。そしてp28からは「改修ZEBのススメ まずは断熱改修から」として–ZEB化が達成できない⼤規模改修⼯事であっても、必ず実施していただきたい⼯事が、「断熱⼯事」です–となっています。文部科学省が「必ず実施していただきたい」と言っているのだから、ぜひ、してください、と行政や議員に相談できますね。ぜひ、活用していきましょう。このブログでは、内容をご紹介し、活用方法を提案します。
以下、画像はすべて「「学校施設のZEB化の手引き」より
目次
文部科学省発行「学校施設のZEB化の手引き」
「ZEB(ゼブ)」とは「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略称。ネット・ゼロ・エネルギー・ビルとは、使うエネルギーとつくるエネルギーの収支がプラスマイナスゼロのビルを意味しますが、日本政府の定義では、「ゼロを使う目指した建築物」となっており、再生可能エネルギー設備がなくても、「ZEB」と呼べてしますのが現状です。
定義はともあれ、文部科学省は「学校施設のZEB化の手引き」を発行しました。
その目的は「ZEB化を達成した学校施設の事例について、そのコストや⼯夫などの取組内容を紹介することで、ZEB化を検討する⾜掛かりにしていただくこと」とあります。
以下の新築2件、改修3件の事例が掲載されています。
メリットは「光熱費の削減」や「生徒が授業に集中できる」こと
事例には、それぞれ、「施設データ(建物の基本情報、⼯事概要)」「建物仕様」「キープラン」「コスト」「導⼊設備」「⼀次エネルギー消費量(MJ/延床㎡年)」「ZEB評価(省エネ率、創エネ率)」をはじめとしたデータやメリットなどが掲載されていて、とても参考になります。気になるメリットはやはり「光熱費の削減」 、そして「生徒が授業に集中できる」などがあります。
国が「必ず」とすすめる「断熱改修」
事例のあとには「改修ZEBのススメ」が掲載されています。予算がなくてZEB化ができなくても、断熱工事を「必ず実施していただきたい」としています。外壁や屋根、窓(外部建具)の断熱工事は、あとでやる、というのは困難なので、大規模改修のときには「必ず実施していただきたい」としてます。
メリットいろいろ:快適・環境教育・防災・光熱費の削減
メリットについては、大きく「快適性・⽣産性の向上」「環境教育への活⽤」「防災機能強化」「光熱費の削減」の4つが説明されています。
ZEB化を達成するための断熱改修仕様
続いて.ZEB化を達成するための断熱改修仕様が説明されています。
断熱改修具体事例
最後に、断熱改修具体事例として屋根・壁、窓の交換や内窓設置の例が掲載されています。
「ZEB化の手引き」を活用しよう、伝えよう
いま、全国の学校が老朽化し、大規模改修もおこなわれつつあります。この機会を逃さず、「必ず」断熱工事を改修に組み込んでもらうため、この「ZEB化の手引き」について教育委員会などに情報提供しましょう。「もう、知ってるかもしれない」と思われるかもしれません。しかし、知っていたとしても、断熱改修を検討していないかもしれません。大規模改修の際に、「必ず」断熱工事をするよう、要請しましょう。「予算がない」と言われるかもしれません。そうしたら、この手引きに、改修で6割もの省エネになったなどの例もありますので、省エネ、つまり、光熱費の削減になることを伝えてみてはいかがでしょうか。もちろん、快適性や防災の観点も話してみるのもよいと思います。
要望・請願・陳情も効果的
電話やメールで「ZEB化の手引き」について情報提供するだけでも、大きな効果を生み出す可能性がありますが、正式に要望したり、議会で請願・陳情するという方法もあります。
要望書の例を以下につけておきますので、ご自由にご活用ください。
要望書のタイトルを「予算要望書」とすれば予算要望書にもなります。
要望書
学校の大規模改修の際には、ZEB化、ZEB化がかなわない場合でも「断熱改修」をしてください
地球温暖化が深刻さを増しています。2023年には、夏休みにはいる前に、すでに30°以上超える暑さを経験した地域がたくさんありました。北海道の小学校2年生の女の子が熱中症で亡くなるという痛ましい事件もありました。
これからは、教室は、暑さから避難できる場所になる必要があります。ところが、現在の学校の多くが断熱されておらず、外の寒さ、暑さの影響を受けやすくなってしまっています。
現在、老朽化した学校の建て替えや大規模改修を進めていると思います。そうした際には、「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」、使うエネルギーとつくるエネルギーの収支がプラスマイナスゼロとなる「ZEB化」を進めることが重要ですが、ZEB化がかなわない場合で「断熱改修」をしてください。
2024年3月に文部科学省が発行した「学校設備のZEB化の手引き」P28に以下のように書かれています。
適切なコストをかけることで、新築だけではなく、⼤規模改修⼯事においてもZEB化が可能であることが事例からわかりました。しかし、予算や建物個別の要因でZEB化が達成できない⼤規模改修⼯事のプロジェクトも多くあると考えられます。このようなZEB化が達成できない⼤規模改修⼯事であっても、必ず実施していただきたい⼯事が、「断熱⼯事」です。外壁や屋根、窓(外部建具)の断熱⼯事は、内装や窓の撤去が伴うため、⼤規模改修時に併せて実施しなければ、後年、簡単に⼯事することができません。このため、⼤規模改修⼯事を⾏う際は、将来的にZEB化を達成できる建物にするため、外壁や屋根、窓(外部建具)だけでもZEBReadyにしておくことで、後年、「照明」「空調」「換気」の交換時期に併せてZEB仕様にするだけで、ZEB Readyを達成することができるのです。
学校の改修につかえる補助金もありますが、自治体としても予算を増額して、子どもたちの健康をまもってください。
「学校のZEB化を求める意見書」が全国の議会で採択
なお、全国のたくさんの自治体議会が国への「環境教育の推進及びカーボンニュートラル達成に向けた学校施設の ZEB化のさらなる推進を求める意見書」を採択しています。
以下、横浜市議会が採択した意見書です。もし、あなたの自治体でまだ、この意見書が上がっていない場合は、ぜひ、議員さんに提案してみてください。
環境教育の推進及びカーボンニュートラル達成に向けた学校施設の ZEB化のさらなる推進を求める意見書
地球温暖化の影響により激甚化・頻発化している災害等に対し、地球規模での環境問題への取組であるSⅮGsや2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、さらなる取組が急務であるが、公共建築物の中で大きな割合を占める学校施設の老朽化がピークを迎える中、教育環境の向上とともに、学校施設を教材として活用し児童生徒の環境教育を行う環境を考慮した学校(エコスクール)事業が行われてきた。
この事業は、現在エコスクール・プラスとして、文部科学省、農林水産省、国土交通省及び環境省が連携協力し、認定を受けた学校が施設の整備事業を実施する際に関係各省より補助事業の優先採択などの支援を受けることができ、平成29年度から今まで2 6 2校が認定を受けている。文部科学省の支援として、令和4年度からは地域脱炭素ロードマップ(国・地方脱炭素実現会議)に基づく脱炭素先行地域の学校などで、ZEB Readyを達成する事業に対し、単価加算措置8%の支援が行われているところである。
文部科学省の補助としては新増築や大規模の改築などのほかに教室の窓を二重サッシや複層ガラスとし断熱性能を高める等の部分的な補助事業もあり、ある雪国の学校では、電力使用量を大幅に削減するとともに児童生徒に快適な教育環境を整えることができた。また、太陽光発電や壁面緑化、自然採光等を取り入れた学校施設(身近な教材)を通じて、仲間と共に環境問題や環境対策を学ぶことができ、科学技術への触発となるとともに最新の技術等を学ぶ貴重な教育機会と なっている。
よって、政府におかれては、これまで多くの事業が全国の学校施設で行われてきたが、カーボンニュートラルの達成及び環境教育の推進を行うためにはさらに加速して事業を実施することが必要である。特に多くの学校での実施が重要であり、技術面(学校施設のZEB化に関する先導的なモデルの構築及びその横展開等)及び財政面(学校施設整備に対する国庫補助)について、以下の事項に留意してさらなる推進を行うことを強く求める。
1 技術面に関しては、学校施設に関するZEB化の新たな技術の開発や周知を行う。特に、新築や増築といった大規模事業だけではなく、LEⅮや二重サッシといった部分的な省エネ改修事業もしっかりと周知を行い、できることから取り組む自治体・学校を増やしていくことがカーボンニュートラルの達成及び環境教育の充実につながることに留意して、周知の徹底に取り組むこと。
2 財政面に関しては、カーボンニュートラルの達成及び環境教育の充実に向けて多くの学校が取り組むことができるよう、学校施設整備に対する事業予算を増額すること。
以下略
ゼロエミッションを実現する会では、市民からの自治体・議会へのアプローチを行っています。
今まで取り組んだことのない方でも大丈夫。
「ゼロエミッションを実現する会」には、たくさんの仲間がいます。
ご参加リクエストをお待ちしています!
Slackは、地域別チャンネルを中心に具体的なアクションを行うコミュニケーションツールです。
Facebookグループは、アクションのための情報交換を行うグループです。