アクションブログ
「ゼロエミションを実現する会」の活動や関連する情報をブログで紹介しています。
随時更新していますので、ぜひ、チェックをしてみてください。

「自治体アクション きほんのき」まとめ(自治体の気候対策をすすめたい方のためのゼロエミ講座)

2023.07.21

自分が住んでいる自治体の気候対策をすすめたい方のための、ゼロエミ講座「自治体アクションきほんのき」を開催しました(2023年7月15日)。

参加できなかった方のために、まとめをお伝えします。

個別の出前講座をご希望の方は、事務局までご連絡ください。

   

●当日の投影スライドはこちらからご覧いただけます。

●まとめの下方にて、参加者アンケートにていただきましたご意見をご紹介しております。

    

目次

なぜ、自治体アクション?

気候危機がまったなしの状態です。

そしてその解決策として、省エネ、再生可能エネルギーの利用などが大切とお伝えしてきました。

それでは、なぜ、解決していないのでしょうか。

それは、解決策をこうじる重要な主体である「政府」の動きが、まだまだ小さいといこうことが、理由のひとつとしてあげられます。
解決策はあります、そして技術もあります。あとは政治の意思だけです。

   

効果的な気候対策には、自治体の制度が必要です。

こちらは、国立環境研究所のウェブサイトにあるグラフです。
脱炭素型ライフスタイルの選択肢が、効果の高い順番にならんでいます。
上位10位を見ると「自宅をゼロエネルギー住宅にすること」「自宅に太陽光パネルをつける」「マイカーを電気自動車に」などがあります。

これらを個人で取り組むには、高い意識をもつこと、そしてお金が持っていることが必要です。
「住宅をゼロエネルギーに」というのは、住宅の断熱をよくして、さらに太陽光パネルを載せる、ということです。個人で取り組むにはかなりの出費となります。

しかし、自治体が、制度として導入することで、100%の導入が可能になります。

まず、義務化して、誰でもやるようにすることで、材料費や施工費が安くなります。

また、太陽光パネルの設置には初期投資がかかるので、自治体が低金利ローンの制度をつくったり、初期投資が0円の0円ソーラーのしくみを整えたりすることで市民みんなの手に届くようになります。

このように、自治体には、気候危機を回避する大きな力があります。

     

解決には自治体の制度が必要

気候危機を回避するため、その解決策は、

「省エネルギーを進めること」「再生可能エネルギーを使うこと、つくること」です。

「省エネルギーを進めること」に関しては、日本の二酸化炭素排出の3/1を占める建築物からの排出を減らすために、断熱・気密をよくすることと、省エネ機器などの普及拡大をはかること、

「再生可能エネルギーを使うこと、つくること」に関しては、自然由来のエネルギー、例えば太陽光発電や風力発電を取り入れることです。

     

自治体は、具体的にどうしたらいいのでしょうか。

もっとも大事なのは、自治体がおこなうすべての事業に省エネと再エネの視点をいれることです。

・公共施設の断熱性能を向上させる、そして高断熱を義務化して、域内のすべての建築物を高断熱にする

・交通の脱炭素化のために、公共交通機関の利用拡大をはかり、バスもEV化し、ゴミ収集車など公用車はすべてEVにし、域内の自動車もEVの標準化をはかる

・クルマ自体の数を減らすために、都市計画を作りかえ、自転車利用の拡大や、カーシェアを進める

・屋根置きソーラーの設置も標準とし、公共施設はもちろん、民間の建築物や住宅にも設置可能な場所への設置をすすめる

・域内で使われる電気はすべて再エネを標準とする

・企業の脱炭素化のために、二酸化炭素削減計画の策定を義務付け、報告書制度を整える

義務というと厳しい規制、というイメージがありますが、これらは、使う電気が安くなり、家は夏涼しく、冬あたたかくなり、排気ガスを吸うこともない、まさにくらしの質が高くなる変革なのです。

      

東京都や川崎市では、すでに太陽光が義務化が決まっています。
でも、太陽光は義務化がきまったけれど、高い断熱性能の義務化なんでできるの? と思われるかもしれません。

けれど、太陽光も、東京都が義務化するまで、できると思っていた人は少なかったのではないでしょうか。
実は、高い断熱性能の義務化は、長野県のゼロカーボンロードマップの中でかかれています。

東京都では2030年までに純ガソリン車の新車販売は禁止という方針をうちだしています。
東京都の報告書制度は、企業に二酸化炭素削減を義務付けています。
長野県では、再エネ電気購入は努力義務になっているとのこと。

これらの施策は、できますし、やらなければならないこと。
その上、やったら、市民の暮らしの質が高まる
、ということをもっと多くの人に知ってもらいたいです。

     

やってみたら、実現した

自治体アクション、やってみたら、実現した、という仲間のことをご紹介したいと思います。
立川市の大学生のみゆさんの事例です。

自治体のウェブサイトを見たら、環境審議会の配布資料が掲載されていなかった。それがなければ、何をもとに審議がなされたのかがわからない。それがわからなければ、何が問題なのかもわからない。みゆさんが自治体に、資料の公開を要望しました。立川市長からの返事は、「環境について広く市民に関心を持っていただくために、資料についても公開することにいたします」とありました。

ゼロエミッションを実現する会のinstagramにて詳細を掲載しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

*立川市のみゆさんのサクセスストーリー(instagram):https://www.instagram.com/p/CabWbUjJf7C/?utm_source=ig_web_copy_link&igshid=MzRlODBiNWFlZA==

     

アクションはじめの一歩

ご自身のの自治体の環境について話している環境審議会について、調べてみましょう。

たとえば、神奈川県のホームページの検索窓に「環境審議会」と入れると、すぐ神奈川県環境審議会のサイトがでてきます。
そこで、過去の開催状況を調べると、今年の5月に開かれていて、今、地球温暖化対策実行計画が改定中であることが読み取れます。

     

もっとも最近の審議会の資料には、地球温暖化対策実行計画の骨子案もありました。
それによれば、2030年の温室効果ガス削減目標は2013年度比で50%とありました。
それをどう減らすかについては、減らす分の2割を国の取り組みや建築物の省エネルギー対策の徹底で 4割を現在ガスや石油が燃料として使われているところを電化する、また電力事業者が再エネを拡大するなどで、のこりの4割を燃料の脱炭素化によって、などとなっています。

しかし、たとえば、ソーラーの義務化や高い断熱性能の義務化などの規制的手法なしに、これほどの削減ができるか、非常に疑問です。

     

また、資料には計画改定スケジュールもありました。
7月は、この素案が環境審議会の環境基本計画部会で審議されるということがわかります。
また、8月に環境審議会でも審議されます。

このことから、なにか疑問点があれば、この7月、8月に聞かないと、どんどん素案がかたまってしまう… ということがわかります。

いいたいことがあれば、今が、言わなければならないときです。

     

もう一つ、事例を紹介します。
長野県の2030年温室効果ガス削減目標の引き上げについてです。

こちら、素案の段階では48%削減だったのが、パブリックコメントで60%以上に引き上げてくださいと多くの声が集まった結果、最終案では60%に引き上げられました。

アクションというのは、なかなか、市民がこのアクションをしたから、こういう成果がでた、と判断できる、というケースはすくないと思うのですが、このケースでは、知事自身が「パブコメの県民の声に背中押された」と言っているので間違いがありません。

このパブリックコメントは180通でした。

     

アクションはじめの一歩 〜パブリック・コメントの提出〜

パブリックコメントという制度は、「政策や条例をつくる際、私たち市民の意見を反映させるための制度」です。

自治体のパブコメは、反映される可能性が高く、市民は、パブコメとあわせて、直接の対話や、メールの送付他のアクションを組み合わせて、意見を反映させてきました。

     

アクションはじめの一歩 〜パブリック・コメントの探し方〜

今、みなさんの自治体でも、重要なパブコメが開始されているかもしれません。
ぜひ、チェックしてみてください。

パブコメの募集は、自治体のホームページに記載があります。
こちらは例として、神奈川県横浜市のホームページとなりますが、検索欄に「パブリックコメント」と記入、検索ボタンを押すと、いま募集中のパブリックコメントが出てきます。

パブリックコメントは、自治体の広報誌にも記載されていることがありますので、広報誌に目を通しても良いかもしれません。

     

このきほんのき講座では、ゲストに長野県上田市で活動している藤川まゆみさんをお招きし、お話をお聞きしました。

●藤川さんの投影資料はこちら

     

アクションはじめの一歩 〜自分の自治体の対策を知ろう〜

ぜひ、この機会に、自分の自治体の温暖化対策実行計画を見ていきましょう。
地球温暖化対策として、自分の自治体がどのような目標を立てて、それに向けた対策を示しているかを知ることも、自治体アクションを進めるにあたり、大事なことです。

①まず自分の市区町村のウェブサイトを開く
② 検索欄で「環境基本計画(または温暖化対策計画)」 といれて検索
③ 開けたら読んでいきましょう

     

アクションはじめの一歩 〜自分の自治体の対策をチェック〜

検索してみると、文字だらけのPDFなどが出てくると思います。
こんなに読みきれない・・画面閉じちゃおうかな、と不安になる必要はありません。
みるべきポイントをお伝えします。

ます、最初のほうに、自分の自治体の温室効果ガス排出量や、それがどこから排出されているものなのか、例えば、工場などの産業部門、お店や事務所などの業務部門、そして家庭部門、交通などの運輸部門、など部門別の排出量などの情報があります。

どの部門が多いかで、どういう対策が効果的かみえてくるので、大事な情報です

チェックしたいのでは、2030年温室効果ガス削減目標です。
国際的な科学者によるプロジェクト「クライメート・アクション・トラッカー」は、日本は60%以上の削減が必要であると提言しています。
これが60%以下なら、もっとがんばらないと、気候危機は回避できないでしょう。

それから、削減するしくみがあるかどうか。制度、義務、とか、規制、補助金のしくみなど。
これらがなく、ただ「推進します」「努力します」とだけ書いてあるのでは、こころもとありません。断熱も再エネもEV化も、「推進する」というだけではだめで、最終的には、すべての建築物が高断熱になり、すべての設置可能な屋根にソーラーがのり、すべての車がEVになる必要があります。CO2の排出を実質ゼロにしなければなりません。

そして、次の改定はいつなのかを調べましょう。
計画はやっぱり大事です。早い段階で、こういう計画にしてください、と提案していくことが重要です。
早い段階ほど、意見の反映の可能性が高まると思います。

     

そして、

① 2030年温室効果ガス削減目標 
 60%以下なら→60%以上を求めよう

② 削減するしくみはある?
 ないなら→制度や規制を提案しよう

③次の改定はいつ?
 いつであっても、気候対策強化を求めよう

特に①はすぐに調べられると思いますので、ぜひ確認してみてください。

     

他にもできること

調査をする、非公開の情報について情報公開を請求する、告発する、住民投票する、気候市民会議(※)を開催する、
そして、自治体職員になって、中から変えるということもできますし、自治体議員に立候補する、ということもできます。
もし、チャンスがあれば、ぜひ、挑戦してください。

※気候市民会議というのは、社会全体の縮図を構成するように一般から無作為で選出された人たちが、専門家からバランスの取れた情報提供を受けながら数週間から数か月かけて気候変動対策について議論する会議です。自治体が気候市民会議の結果をきちんと受けとめるのであれば、気候対策を進めるのに効果があります。
(参考:Citizens Assemblyのホームページ)

     

あなた個人ができること

個人でできることありますか?という質問をいただくことがあります。
個人でできること、たくさんあるのですが、グレタさんの本にあった言葉をご紹介します。

「活動家になること」

「民主主義を守るために、闘い、発展させ、拡大すること」

活動家になるということは特別なことではなく、すでにある市民参加のしくみを使っていくことだと思っています。

     

自治体アクション、やってみよう

自治体アクションは難しいことではありません。すぐにできることもあります。
できそうなものから、興味を持ったものから、始めてみてください。

次回のきほんのき講座は「チームづくり」。
自治体アクションをするにあたり、仲間の存在はとても心強いものです。
仲間の見つけ方や、関係構築の方法など、チームづくりにあたってのポイントをお伝えします。

また、ひとりでもできることもありますので、その事例をご紹介します。

ぜひご参加ください。

     

     

     

●アンケートにていただきましたご意見をご紹介いたします。よかった点は励みになりますし、改善点は、改善につなげています。今後もぜひ、ご意見をお寄せください。

〔よかった点〕

・上田市・藤川さんの報告。実際に活動されているだけあり、実践方法を学ぶことができた。(長濱 慎さん)

・学習会企画を考えたいと思いました。 (井上 悦子さん)

・上田市の実施例が聞けてよかった。 (脇本 崇さん)

・実際に活動されている内容が分かった。 (タムさん)

・実際に自治体アクションした例をいくつも聞けて、リアルに参考にできました。かずえさんの等身大の語り口もとてもすてきでした。質問への回答は「きほんのき」に限るというのもとても良かったと思います。焦点が定まりますね。今回チャットへの書込みも多く、共感の輪が広がるツールになっていたと思います。放課後もいいですね。(藤川 まゆみさん)

・上田のやり方、31日の交通ウェブ情報、テスラのやり方をしれたこと。(kamenonaokoさん)

・上田の話が参考になりました。  (K. H.さん)

・まずは何をしたらよいのかわかりました。 (匿名の方)

・アクションの内容が端的で、わかりやすかった(要点がまとまっていた)、具体的なエピソードが聞けた(上田市) (匿名の方)

・体験例や、何をしたら良いかの例が具体的にあって良かったです。まずはホームページを見たり、パブリックコメントなら自分でもハードルが低くやりやすいと思いました。 (匿名の方)

・自治体アクションの具体例が知れて良かった。すぐにでも取り組もうと思いました。 (匿名の方)

     

〔改善点〕

・話し始めてとまらないかたがいるときは、時間@@分くらいで と 区切ったほうが良いように感じました。 (脇本 崇さん)

【事務局より】
→貴重なご意見ありがとうございます。
スムーズな運営のため、時間の目安をあらかじめお伝えすることも大切だと感じました。今後取り入れさせていただきます。

     

・放課後があると事前に予告しておくといいですね(していたらすみません!)。(藤川 まゆみさん)

【事務局より】
→貴重なご意見ありがとうございます。
放課後開催の際には、決まった時点でみなさんにお伝えできるように工夫いたします。

       

・チャットに適応できない人は聞くしかないので、改善してもらえるところはありません。(kamenonaokoさん)

【事務局より】
→貴重なご意見ありがとうございます。
チャットが難しい方でも、参加してよかったと思っていただけるような講座を提供していけたらと思います。

     

     

〔その他の感想〕

・ビデオに残して、また、アーカイブで見る機会ができると良いと思いました。 (井上 悦子さん)

【事務局より】
→貴重なご意見ありがとうございます。
録画データの編集後、掲載を検討いたします。

  

・皆さま、チャットも活発で、学びがたくさんありました。次回もぜひ、チャット活用を勧めていただきたいです。(脇本 崇さん)

・一人で首長を含めた講演会を開催するまでの道のりは果てしなく遠い気がする。力のある方が全国サミットを開催し、そこに自分の自治体を参加させるように働きかけるようなことなら、なんか出来そうな気もした。また、そういう全体を一気に動かすような活動をしないと、急激な削減には対応できない気もする。あと、次回は参加できないので残念。 (タムさん)

・本日申込を忘れていて焦りました笑笑 開始してからでも申し込めるので助かりました。(藤川 まゆみさん)

・放課後の直接話せるズームはとてもありがたいです。(kamenonaokoさん)

・メルマガ?があるとお聞きしました。どのようにしたら受け取れますか。 (匿名の方)

【事務局より】
→ゼロエミslackにご登録いただいた方に配信しております。
ぜひご登録ください。

🌼地域ごとのチームで活動するためのslack申込みフォームはこちら

     

・長野県の方のように、実際に何か会を開いたり、一歩進んだアクションをするのはやはりハードルが高く感じてしまいます。みなさん、「何も分からないところから始めたけど出来た」「ただの主婦だったけど出来た」など、一般人でも出来たから誰でも出来るというようなことをおっしゃってくれるのですが、私からしたら凄い人たちにしか見えず、自分には出来ないと思ってしまいます。焦らず、小さなことでも自分に出来そうなことをして、考えていきたいと思います。 (匿名の方)

【事務局より】
→貴重なご意見ありがとうございます。
気候変動対策のためになにかしよう、というお気持ちが大切かと思います。
その気持ちを、行政に伝えるだけでも大きなアクションです。
無理なさらず、でもできることを、取り組んでいただけますと嬉しく思います。

わたしたちと一緒に活動しませんか?

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今まで取り組んだことのない方でも大丈夫。

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