アクションブログ
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1人でもできた。仲間(ゼロエミ)がいたから。
新座市「ゼロカーボンシティ宣言」陳情採択

2022.04.13

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2022年3月8日に、新座市議会で「ゼロカーボンシティ宣言(2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロ)」を求める陳情が委員会採択されました(その後の本会議でも採択)。
【追記:2022年5月20日に表明されました!】

採択されるまでのお話をRinaさんに寄稿していただきました。

目次

1人の大学生が、気候危機を訴えるために、市政に飛び込んだ。

私は現在学生で、気候変動によって自分の将来が脅かされている事態に、大変強い危機感と恐怖心を抱いています。一昨年の12月から、「Fridays For Future(若者が中心となり、政府や企業など、社会に気候変動対策を求めて声をあげるムーブメント。以下、FFF。)」で活動をしています。気候変動に歯止めをかけるべく、自分にできることは可能な限りやりたい、という思いが常にあります。

強力な気候変動対策を進めていくには、社会システムをつくっている「政治」に市民が参画し、その代表者にどんどん声をあげていく必要があると考えています。そのため、FFFでは、これまで国政へのアプローチをしてきました。
しかし「政治」は、国政だけでなく、市政も含むことから、市政へのアプローチも重要であると、ふと気がつきました。そこで、FFFの活動だけでなく、個人で市政に向けて、何か始めたいと思うようになりました。後押しになったのは、すでに自治体アクションを経験したFFFのメンバーの声です。「意外と簡単にできるし、楽しいよ。」その一言により、「自分もやりたい!」と突き動かされました。

(Fridays For Future Tokyoのアクションの様子〈2021年3月バスタ新宿前でのスタンディング〉)

議員との対話で崩れた「壁」

まず、新座市の現状把握から始めました。環境基本計画や、地球温暖化対策地域推進計画を調べたところ、気候変動対策が進んでいない状況であることがわかりました。この実態を踏まえ、ハードルが低く、最初のステップとして重要と思われる「ゼロカーボンシティ宣言」を求めようと考えました。その後、ゼロエミッションを実現する会に、アプローチの方向性をご相談しました。一緒に調べていただくなかで、最大会派の代表者と、過去に議会で「ゼロカーボンシティ宣言」を提案した議員が一致しているとわかり、その議員にまずはアプローチすることにしました。アポをとり、電話でお話ししました。気候変動の現状と、「ゼロカーボンシティ宣言」を請願書で出すために協力してほしい旨をお伝えしたところ、宣言に至るまでには、さまざまな「壁」があると言われ、よいお返事はいただけませんでした。

しかし、その後も粘りました。ゼロエミッションを実現する会のかずえさん、吉永さんに同席していただき、私を含め4人でのミーティングをもってもらいました。吉永さんに、コストをかけずにゼロカーボンを達成するやり方など、宣言を出すうえでの「壁」は厚くないことやメリットをお話ししていただきました。そして、陳情という条件で、協力してくれることになりました。

陳情書は、ゼロエミの方が過去に提出されたものを参考に書きました。そして、先の議員にご意見をいただきました。また、連絡先が公開されている議員全員に採択のお願いをしました。主にメールで行い、本陳情の審査を行うであろう委員会の全議員と、政策に気候変動・環境問題を掲げている議員には、思いが伝わるまでアプローチを続けました。そのなかで、密にお話をした議員のお一人にも、陳情書のご助言をいただきました。

陳情書提出の際には、議員と事前にアポをとり、採択のお願いをしました。すべての会派をまわることはできませんでしたが、議会事務局の方が、資料を作成すれば渡すと言ってくださり、資料を作成しました。この資料には、陳情書提出に至った背景などを加えました。

陳情書の審査日には、陳述ができることになっていましたが、時間が限られ、また配布資料を複数部、自分でコピーしなければならなかったため、印刷代や紙削減を考慮し、事前にA4サイズで10枚分ほどの資料を、審査される委員会の議員全員にメールでお送りしました。その資料には、気候危機について、議論の参考にしていただくための、ゼロカーボン達成に向けた具体策、陳情にかける思いを詳細に記しました。なお、陳述の場で配布する資料は、その事前の配布資料からピックアップした要点を、2枚に収めたものにしました。ちなみに、陳述では時間内に陳情内容を正確に述べられるよう、原稿を作成しました。

そして審査の日、全ての会派からの賛同を得て、「ゼロカーボンシティ宣言」を求める陳情が採択されました。

採択に至った3つの理由:ゼロエミ+戦略+準備

第一に、かずえさんや吉永さんをはじめとする、ゼロエミの方々にご協力いただいたことが大きいです。新座市に、どのようにアプローチをするか、右も左もほとんどわからない状態でしたが、かずえさんが一から一緒に調べ、助言してくれて、とても心強かったです。また、ゼロエミの方々が過去に提出された陳情書や、陳述での配布資料を参考にさせていただいたので、スムーズに進めることができました。多くの皆さんのおかげで私一人でも十分にアクションを起こすことができました。自治体アクションをしたい方には、まずはゼロエミのSlackやFacebookに入ることを強くおすすめします。

第二に、最大会派の代表者であり、過去に気候変動対策について議会で触れたことのある議員と、対話を重ね、協力を得たことが実を結んだと思います。この議員に陳情書に意見をもらったことが、最大の勝因かもしれません。立てた戦略が功を奏しました。

第三に、周到な準備をしたことも大きいです。上述のように、全議員に陳情の採択のお願いをし、陳情審査日前に、陳情の内容の詳細を記した参考資料を委員にメール等で配布しました。これにより、自分の強い思いが議員に伝わり、採択につながったのではないかと思います。

議員に気候危機を伝え、気候変動対策強化につながる自治体アクション

採択されて、純粋に嬉しいです。市民一人でも、何かを変えられる。一人ひとりの力は、やはり大きい。それを実感しました。

陳述後、議員のお一人が、「気候変動は我々大人に責任がある」と述べられ、若者として心強く感じました。新座市は、環境基本計画等を見ている限り、気候変動対策が進んでいないと見受けられたので、新座市の、対策を進める気運が高まったような気がしました。

今回私は、「ゼロカーボンシティ宣言」を求めると同時に、新座市の議員に、気候危機に関する若者の思いも知ってほしいと考えていました。自治体に対するアクションは、気候危機や、自分のそれに対する思いを議員に伝え、自治体の行動気運を高められる、とてもよい機会であると思います。アプローチするなかでお話しした、ある議員のお話が印象に残っています。「議員間で、様々な社会問題に関して知識の差がある。市民から問題を教えてもらえると勉強になるので、どんどんアプローチしてほしい」。このお話を受け、議員は市民の声を待っているのだとわかりました。全議員に気候危機が十分に浸透しているとはいえない状況であるため、市民はどんどん伝えていかなければならないのだと思います。

自治体アクションは、たとえ採択に結びつかなかったとしても、議員に気候危機を伝え、対策をする気運を高められるため、気候変動対策の強化につながり、とても意義があると感じています。

(Fridays For Future Tokyoのアクションの様子〈2021年6月「ATO4NEN」と合同での国会前スタンディング〉)


【追記:2022年5月20日に表明されました!】

本会議で採択されたのち、スピーディーに「ゼロカーボンシティ」の表明をしていただけるよう、秘書広聴課を通じて市長に要望書を提出しました。

功を奏し、提出した1か月後に表明がなされました。

提出した陳情書

ゼロカーボンシティ宣言に関する陳情書

●陳情理由

  近年、酷暑や集中豪雨など、気候変動により災害が激甚化しており、世界全体が危機的状況に陥っています。2015年のパリ協定では、この状況を打開すべく、「1.5度目標」が掲げられました。「1.5度」を超えてしまえば、50年に1度の熱波が起こる確率が、1850年から1900年の平均と比較し、8.6倍になる(IPCC第6次評価報告書より)など、人類に壊滅的な影響が及ぶと予測されています。しかし、2040年までに「1.5度」に達する可能性が50%を超えると発表され(同報告書より)、気候変動の加速している現状が明らかとなっています。

  私は、現在学生で、自分の将来が脅かされている事態に、強い恐怖心と危機感を抱いています。このままでは、気候変動の影響に絶えず苦しむ未来が待っており、何気ない日常を過ごすことが困難になると思われてなりません。自分の命や大切な人の命が奪われかねない状況なのです。未来を希望あるものにするには、今、最大限に、あらゆる主体が気候変動対策を進める必要があると考えています。

  現在、政府は「2050 年に二酸化炭素を実質ゼロにすることを目指す旨を首長自らが又は地方自治体として公表された地方自治体」を「ゼロカーボンシティ」とし、国内外に広く発信するとともに、全国の自治体へ表明を呼び掛けています。表明自治体数は増加しており、2022年1月31日時点で、埼玉県内でも26の地域が表明しています。

  「第2次新座市地球温暖化対策地域推進計画」において、「地球温暖化の問題は、私たちの暮らしと密接に関係していることから、将来の世代のために私たちが責任を持って取り組まなければなりません。」との市長の宣言が示されています。「責任」の1つに、「ゼロカーボンシティ」の表明があると考えています。

  ゼロカーボンシティ宣言を出すことで、意欲的に脱炭素の取り組みを行う自治体と捉えられます。環境省による交付金の支援も見込まれます。また、市の気候変動対策としての積極的な方針は、市民の意識向上につながり、市民・事業者・市の三者の協働が促進されると思われます。さらに、新座市は、元より市民の協力のもと、1日当たりの市民の可燃ごみ排出量が県下でも少なく、ごみ減量やリサイクル意識が高い市です。ゼロカーボンシティ宣言により取り組みを進め、更に環境先進都市としても発展が期待できます。

  気候変動は、一刻の猶予も許されない、克服すべき人類共通の喫緊の課題となっています。特に若者にとっては将来の切実な問題です。温室効果ガス排出削減を着実に進めるべく、新座市として「ゼロカーボンシティ」を表明していただくよう、本陳情の採択を、どうかお願い申し上げます。


●陳情事項
新座市として、2050 年までに二酸化炭素の実質排出量ゼロを目指すと表明(ゼロカーボンシティ宣言)して、気候変動対策を進めていくこと。

2022年2月14日
新座市議会議長 滝本 恭雪 様

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