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脱炭素社会づくりのための陳情・請願を出そう

2022.07.22

気候危機をなんとかして止めたい!そう思ったら、ご自分の自治体議会に、陳情や請願をしてみませんか?
今回は、具体的に、7つの例を紹介します。
これまでに、「ゼロエミッションを実現する会」の仲間が提出した陳情・請願の例や、案をみてみましょう。

目次

例1. ゼロカーボンシティ宣言を求める陳情・請願

もし、あなたの自治体が、まだ「ゼロカーボンシティ宣言」をしていなかったら、宣言を求めてみませんか?ゼロカーボンシティ宣言は2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)をめざす、と宣言するものです。宣言をすれば、自治体広報などで一般に広く周知されます。そして、自治体の計画に明記することが推奨されています。計画に組み込まれれば、実効性のある施策を出していくことにつながります。ぜひ、取り組んでみませんか?

過去に採択された陳情・請願の例

ゼロカーボンシティ宣言に関する陳情書

●陳情理由

  近年、酷暑や集中豪雨など、気候変動により災害が激甚化しており、世界全体が危機的状況に陥っています。2015年のパリ協定では、この状況を打開すべく、「1.5度目標」が掲げられました。「1.5度」を超えてしまえば、50年に1度の熱波が起こる確率が、1850年から1900年の平均と比較し、8.6倍になる(IPCC第6次評価報告書より)など、人類に壊滅的な影響が及ぶと予測されています。しかし、2040年までに「1.5度」に達する可能性が50%を超えると発表され(同報告書より)、気候変動の加速している現状が明らかとなっています。

  私は、現在学生で、自分の将来が脅かされている事態に、強い恐怖心と危機感を抱いています。このままでは、気候変動の影響に絶えず苦しむ未来が待っており、何気ない日常を過ごすことが困難になると思われてなりません。自分の命や大切な人の命が奪われかねない状況なのです。未来を希望あるものにするには、今、最大限に、あらゆる主体が気候変動対策を進める必要があると考えています。

  現在、政府は「2050 年に二酸化炭素を実質ゼロにすることを目指す旨を首長自らが又は地方自治体として公表された地方自治体」を「ゼロカーボンシティ」とし、国内外に広く発信するとともに、全国の自治体へ表明を呼び掛けています。表明自治体数は増加しており、2022年1月31日時点で、埼玉県内でも26の地域が表明しています。

  「第2次新座市地球温暖化対策地域推進計画」において、「地球温暖化の問題は、私たちの暮らしと密接に関係していることから、将来の世代のために私たちが責任を持って取り組まなければなりません。」との市長の宣言が示されています。「責任」の1つに、「ゼロカーボンシティ」の表明があると考えています。

  ゼロカーボンシティ宣言を出すことで、意欲的に脱炭素の取り組みを行う自治体と捉えられます。環境省による交付金の支援も見込まれます。また、市の気候変動対策としての積極的な方針は、市民の意識向上につながり、市民・事業者・市の三者の協働が促進されると思われます。さらに、新座市は、元より市民の協力のもと、1日当たりの市民の可燃ごみ排出量が県下でも少なく、ごみ減量やリサイクル意識が高い市です。ゼロカーボンシティ宣言により取り組みを進め、更に環境先進都市としても発展が期待できます。

  気候変動は、一刻の猶予も許されない、克服すべき人類共通の喫緊の課題となっています。特に若者にとっては将来の切実な問題です。温室効果ガス排出削減を着実に進めるべく、新座市として「ゼロカーボンシティ」を表明していただくよう、本陳情の採択を、どうかお願い申し上げます。


●陳情事項
新座市として、2050 年までに二酸化炭素の実質排出量ゼロを目指すと表明(ゼロカーボンシティ宣言)して、気候変動対策を進めていくこと。

2022年2月14日

参考ブログ : 一人でもできた。仲間(ゼロエミ)がいたから。新座市「ゼロカーボンシティ宣言」陳情採択

例2. 温室効果ガス削減目標引き上げを求める陳情・請願

もし、あなたの自治体の温室効果ガス削減目標が不十分なら、引き上げを求める陳情・請願を出してみましょう。多くの自治体が日本政府の「2030年温室効果ガス46%削減、さらに50%の高みを目指す(2013年比)」をもとに、46%削減を目標に設定しています。しかし、もし、日本全体で2030年温室効果ガス削減が46%(2013年比)しかできなければ、産業革命以降の地球の平均気温上昇を1.5℃以内に、と決めた国際的な約束を守ることはできません。50%でも、まだ足りません。日本全体で60%以上の削減が必要です(くわしくはブログ「日本が2030年温室効果ガス排出削減目標を60%以上にすべき理由」)。

過去に採択された陳情・請願の例

2030年CO2削減目標を60%以上と設定することを求める陳情 

提出年⽉⽇ 2022年2⽉16⽇ 

北区議会議⻑ 名取 ひであき殿 

陳情者 北区ゼロエミッション2050                                              

主旨 

北区環境基本計画における2030年のCO2排出量削減目標を2013年比60%以上と設定することを区議会として求める。

理由 

 2021年11月13日に閉会したCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)では、気温が1.5度以上上昇すると海面の極端な上昇、壊滅的な干ばつ、猛烈な嵐、現在起こっているよりもはるかに深刻な森林火災などが引き起こされるとし、温暖化を1.5℃以内に抑えること、そのために各国に来年末までに削減目標(NDC)を強化することを求める合意文書を採択しました。

 今のままでは、2040年には1.5℃上昇が起きてしまうと言われています。そのため、2030年までの行動が、2050年までの温暖化に大きな影響を及ぼします。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した、地球の温度上昇を1.5度以下に抑えるための炭素予算を日本の人口で按分すると、2030年までに60%以上の削減が必要です。

(国際研究機関のクライメート・アクション・トラッカーの試算によると、2030年までに62%の削減が必要です。)

 北区では、昨年「北区ゼロカーボンシティ宣言」を表明し、官民一体で2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロに向けての取り組みが始まったばかりです。2050年の目標達成に向け、より具体的かつ科学的根拠に基づいた計画が必要です。

  よって、北区においても2030年CO2削減目標を基準年(2013年)比で少なくとも60%減としていただくよう求めます。

参考:クライメート・アクション・トラッカー(CAT)「日本の1.5°Cベンチマーク」https://climateactiontracker.org/documents/849/2021_03_CAT_1.5C-consistent_benchmarks_Japan_NDC-Translation.pdf

参考ブログ:東京都北区で気候変動に関する陳情が4つ、委員会採択されました!

例3. 建築物の省エネを求める陳情・請願

さて、あなたの自治体に2030年温室効果ガスの目標があったとして、有効な施策を打てていますか?温室効果ガスの大部分を占めるのが二酸化炭素、CO2です。CO2の削減には、省エネと再エネ両方を進めることが必要です。省エネでは、CO2排出の3分の1を占める建築物からの省エネが重要です。そのために有効なのが建築物の断熱性能の向上です。ところが、現在の日本にある住宅の約40%が無断熱。37%が、昭和の基準の断熱性能です(くわしくは「省エネ改修のこれから 建築家 竹内昌義さんに聞く」を参照)。建築物の省エネを進めるにあたり、自治体には二つのことができます。公共建築物の断熱性能を高めることと、民間の建築物の断熱性能義務を強化したり、より高い断熱性能での施工を支援したりすることです。まず、「隗より始めよ」。もし、あなたの自治体が公共建築物の断熱性能について効果的な取り組みをしていないなら、ぜひ、まず公共建築物の省エネを提案してはいかがでしょう。

過去に採択された陳情・請願の例

2022年2月15日
国立市議会議長 青木健 様

国立市が新設・既設の市有施設の省エネ断熱性能の向上を求める陳情
陳情の趣旨

  近年、酷暑や集中豪雨、巨大台風など気候変動の影響は身近な生活に及んでおり、世界全体が危機的状況になっています。これに対し、国内外の自治体や企業では地球温暖化対策に取り組む動きが活発化しています。
  日本政府は2020年に2050年温室効果ガス排出実質ゼロにするカーボン・ニュートラル宣言をし、2021年に「2030年温室効果ガス削減目標(以下NDC)を46%とし、さらに50%の高みをめざす」と示しました。一方、国連環境計画は「各国が示す2030年NDCを達成したとしても、世界平均気温は産業革命前と比べ今世紀末までに2.7度上昇する」と報告しました。それを受けて国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、参加国が気温上昇を1.5°Cに抑える努力をすることが合意され、各国に対し2030年の目標を再検討・強化し2022年末までに提出することが求められました。国立市では2021年2月にCO2排出量の実質ゼロを目指す「2050年ゼロカーボンシティ」を表明しました。

  政府はCO2排出削減のためにエネルギー消費量を減らす省エネルギーの取り組みを重要だとして、環境省・経済産業省・国土交通省・文部科学省において建物でのエネルギー消費を収支ゼロにするZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の導入に向けて動いています。東京都港区で、区有施設の断熱を求める請願が採択されました。 
  断熱性の高い建築物は、冬に寒すぎず湿度を保ち、夏に暑すぎない環境であり、そこで過ごす人の健康・快適性・生産性を高める効果があるとの知見が得られています。学校で子どもたちの勉強の効率の向上や感染症予防、学校・庁舎で働く人の作業効率や健康を高めるメリットがあります。 
  また、市有施設は災害時の対応拠点や生活する避難所として活用されます。停電により暖冷房が途絶えることも想定され、断熱性能の高い避難所は、市民の命を守ることができます。実際に東日本大震災で、宮城県の断熱化された体育館を避難所として運用した際、冬場でも室温を保つことに役立ったと報告されています。 
  建築物の省エネルギー性能の向上の改修はコスト高になるとの誤解もありますが、ランニングコストの低減により長期的にはむしろトータルコストの削減につながります。先行事例として、宮城県仙台市や愛知県豊田市の小学校で断熱改築すると、冬の電気エネルギー消費50〜60%削減が立証されました。

  市有施設において率先して省エネ断熱性能を高めることは、市民にとって安心をもたらし、国立市の大きなイメージアップになります。 
  国立市議会において本陳情を採択いただき、市有施設を省エネ断熱化していただきたくお願い申し上げます。

  次の3項を検討事項として陳情いたします。 

●陳情事項
1. 市有施設の断熱性能を点検し、性能が低い施設のピックアップをお願いします。 
2. 改築工事の予定があるものは、その機会を逃さずに断熱改修を要望します。
3. 新設予定の建築物に高い断熱性能を採用していただけるようお願いします。

参考ブログ:東京都国立市で「市有施設の断熱性能向上を求める陳情」が採択されました!

例4. 再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを求める陳情・請願

さて、省エネと並んで大事な再生可能エネルギーの利用拡大。これには、使う電気を再エネにする、再エネの電源を増やすの二つの方法があります。まずは、手軽な電力の切り替え、パワーシフトを求めてみてはいかがでしょうか。とくに、もし、まだ公共施設での再エネ調達がなされていないのであれば、早急にパワーシフトしてもらいましょう。象徴的に、区役所、市役所本庁舎の電気を再エネにしている自治体はけっこうあると思います。しかし、すべての公共施設でのパワーシフトが必要です。

過去に採択された陳情・請願の例

請願の趣旨
港区が区有施設への再生可能エネルギー電気の導入を推進することを港区議会として求める

請願理由
 近年、酷暑や集中豪雨など気候変動の影響は身近な生活に及んでおり、世界全体が危機的状況になっています。これに対し、国内外の自治体や企業が、地域や自社で地球温暖化対策に取り組む動きも活発化しています。 2015年に合意されたパリ協定では、「平均気温上昇の幅を産業革命以前と比べて2℃未満」とする目標が国際的に広く共有されたとともに、2018年に公表されたIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の特別報告書においては、「気温上昇を2℃よりリスクの低い1.5℃に抑えるためには、2050年までにCO2の実質排出量をゼロにすることが必要」とされています。

こうした目標の達成に向け、菅総理は2020年10月26日の所信表明演説において「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること」を宣言しました。また、政府はそれに先立ち、2050年に温室効果ガス又は二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることを目指す旨を首長自らが表明又は地方自治体として公表された地方自治体を「ゼロカーボンシティ」とすることとし、国内外に発信しています。2019年に「ゼロエミッション東京」を発表した東京都をはじめ、2021年2月16日時点では、全国の262もの自治体が「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロ」を表明しています。

 港区議会においても「ゼロカーボンシティ宣言」を求める請願が満場一致で採択されたところです。
 ゼロカーボンシティの実現、2030年に向けてのCO2排出量削減に向けては自治体における再生可能エネルギーの導入促進が求められており、環境省は2020年6月に「気候変動時代に公的機関ができること~「再エネ100%」への挑戦~」(公的機関のための再エネ調達実践ガイド)を公表し自治体での再生可能エネルギー電気の導入を推進しています。当会では2020年10月、港区地球温暖化対策担当課長に面談の際に上記の公的機関のための再エネ調達実践ガイドを手渡し再生可能エネルギー電気の導入促進を要請しています。
 
 港区においては23区初の「みなと全国連携エネルギー登録制度」や本庁舎等で東京二十三区清掃一部事務組合が運営する清掃工場の余剰電力等を供給する東京エコサービス株式会社の電気を調達するなどの先進的な取り組みを行っています。
 しかしながら、令和2年度に全国連携による再生可能エネルギー電気を含む低炭素電源活用検討業務委託を随意契約しており4,213,000円の委託費となってますが進展が見られません。なお同一委託先業者に随意契約で平成29年~令和元年度で計1,366万円もの委託を行っています。
 一方、さらなる区有施設への再生可能エネルギー電気について区は可能な限り導入するとしながらも当会の請願審議(昨年11月・本年2月)が行われた港区議会区民文教委員会においては再生可能エネルギー電気はコストが高いことが財政的な導入障壁となっているとの趣旨の答弁を繰り返しています。

 ところが当会メンバーが情報公開請求による港区が契約する電力契約について調査したところ、契約管財課において入札されている契約以外に符号契約・各課契約により東京電力エナジーパートナー株式会社からの電力調達を継続していることが判明しました。

 当会において再生可能エネルギー電気を調達した場合の事例を調査したところ、関東圏において多くの事業所を有する協同組合が再生可能エネルギー100%であるみんな電力株式会社の電気に切り替えたところ1万円/月以上の電気料金の事業所においては系統電力(東京電力エナジーパートナー株式会社)よりも10%以上安い電気料金で契約できている多数の事例がありました。港区が契約する電力には1万円/月以上の契約が多数存在し、ただちに再生可能エネルギー100%(RE100)とした上でコスト削減が行えます。

また、環境省・多くの自治体が加盟するグリーン購入ネットワークなどに問い合わせたところ環境省・さいたま市・益田市などで行われているリバースオークションでは再生可能エネルギー(RE100)電気としてなおかつ、電気料金の削減に成功しています。
 リバースオークションについては環境省の公的機関のための再エネ調達実践ガイドにも掲載されています。

 さらに当会において環境省等の委託を受けてリバースオークションを行っている事業者に照会したところ、港南四丁目保育室は東京電力のC契約標準単価で契約されており、直近のRE100リバースオークションの実績からすると東京電力標準単価に対して、RE100を達成しつつ、10~12%程度削減が行なえる見通しです。港区立港郷土資料館については業務用電力を東京電力標準単価で契約されておりRE100オークション実績では、東京電力標準単価に対して、RE100を達成しつつ、5~18%程度の削減が行なえる見通しです。 

 同様に生涯学習センター(業務用電力)・芝公園2丁目保育室(従量電灯C)・芝公園(スタンダードL)・新橋内幸町地下道(業務用電力)・浜松町北口エスカレーター・正則学園前公衆便所・新橋西口広場照明・港区海岸街路灯・田町駅西口上空通路・浜崎公園・田町駅西口エスカレーター・広尾駅自転車駐車場・有栖川宮事務所・六本木西公園・狸穴公園・飯倉公園・三河台公園・桜坂公園・有栖川宮散水・有栖川宮ポンプ・六本木7地下通路エレベーター・六本木7-23・赤坂1-14・赤坂9-7・赤坂1-11・円通寺坂公園・一ツ木公園・氷川公園灯・氷川噴水・乃木公園・桑田記念児童遊園・伊皿子坂保育園(業務用電力)・白金3丁目保育室(従量電灯C)・三光保育室(業務用電力)・高輪区民協働スペース(業務用電力)・亀塚公園・高松くすのき公園・白金公園・高輪公園・三田台公園・白金台どんぐり児童遊園・白高児童遊園・雷神山児童遊園・二本榎児童遊園・魚籃噴水・白金6-16-16・白金1-24-1・港南4丁目保育室(低圧電力・従量電灯C)・伝統文化交流館(従量電灯C)・箱根大平台みなと荘(業務用季時別電力2型)などが検討を要します。(判読不明のもの等は含まれませんので区において全契約の確認をお願いしたい)
 なお、従量電灯B・Cについて港区も合同キャンペーンを行った東京都の「みんなで一緒に自然の電気」事業で再生可能エネルギー100%電気で6%程度コストダウンすることが東京都より広報されています。

 当会が短期間に行った調査でも港区の電力購入契約はただちに再生可能エネルギー(RE100)とした上で大きなコスト削減も行えることが明確となっています。区は議会答弁においてコロナ禍で税収が減少するなかの再生可能エネルギー導入は難しいとしていましたが逆にコロナ禍での税収減を補うコスト減が可能であることが判明しております。ただちに再生可能エネルギーへの切り替えを行うべきであり、行わないことが区民の利益に反することとなります。

 従前、港区は地球温暖化対策担当において再生可能エネルギー電気の導入に取り組んでいますが、電力契約は全庁的な理解と協力が必要であり港区議会におかれては区の温暖化対策の推進のため本請願を採択いただくとともに区担当部署のみならず全庁的な取り組みが行われますよう後押しをお願い申し上げます。

 また、本請願の審議・採択を待つことなく区においては迅速に再生可能エネルギー電気への切り替えを進めていただくようお願いするとともに区議会議員各位のご協力をお願申し上げます。

例5. 太陽光パネル設置義務化を求める陳情・請願

再エネ調達と並んで大事な再エネ推進策が、再エネ電源を増やすこと。太陽光と風力にはまだまだ大きなポテンシャルがあります。とくに屋根置き太陽光は自治体が取り組みやすい分野です。自らが運営する公共施設に置くこともできますし、自治体内の住宅への設置を支援することもできるからです。東京都はハウスメーカーへの太陽光パネル設置義務付を提案しています。東京都の制度提案(を参考にして、ぜひ、あなたの自治体でも屋根置き太陽光パネル設置義務化を求めませんか。

ゼロエミッションを実現する会の仲間で太陽光パネル設置義務化を求める陳情・請願を出した例はまだないので、事務局で案を書いてみました。参考にして、あなたの自治体議会に提出していただけるとうれしいです。

事務局案

ハウスメーカーへの太陽光発電設備設置義務化を求める請願

今年は、6月末から過去150年近くで最悪の熱波に襲われました。気候危機がすでに始まってしまったと感じます。気候対策を一層強化しなければ、より多くの命が奪われる事態となるでしょう。また、化石燃料価格の高騰による電気代値上げも私たちの暮らしを脅かしています。

いま、大胆なエネルギー消費量の削減と再生可能エネルギーの拡大が求められています。

今年6月に成立した建築物省エネ法改正で、建築士から建設主へ再エネ導入効果の説明義務が課されました。東京都では太陽光発電設備設置のハウスメーカーへの義務付けを検討しています。

国のエネルギー基本計画では2030年までに新築一戸建て住宅の6割に太陽光発電設備を設置するという目標をたてています。

家庭部門からの排出が24%を占める横浜市でも、新築一戸建て住宅への太陽光発電設備設置率を高めていく必要があります。

横浜市でも、対象事業者への聞き取りと意見交換を十分におこなった上で、ハウスメーカーの太陽光発電設備設置についての施主への説明義務遂行支援および、太陽光発電設備設置義務化を進めてください。

資料:東京都による太陽光発電設備義務化説明資料

例6. 脱炭素先行地域

これまでみてきた省エネ、再エネの取り組みを総合的に進めることができるのが、「脱炭素先行地域」です。脱炭素先行地域では、2050年温室効果ガス排出実質ゼロに向けて、「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」(2022年度予算額200億円)による支援を受けて、2030年時点での家庭部門と業務部門の電力消費に伴うCO2排出、さらに運輸部門や熱利用等も含めてのCO2排出う実質ゼロを目指します。国が示した「地域脱炭素ロードマップ」では、少なくとも100か所の設置をめざしています.

脱炭素先行地域として応募できるのは、市区町村全域、住宅街・住宅団地、町村役場・商店街等、商店街・商業施設、オフィス街・業務ビル、大学、工業団地、港湾、空港等の特定サイト、農村・漁村・山村、離島、観光地・自然公園等、実にさまざまです。ぜひ、あなたの自治体からの応募を要請しましょう。

過去に採択された陳情・請願の例

請願の趣旨

脱炭素先行地域の設定について港区として積極的に検討することを港区議会として求める

請願理由

 国と地方が協働・共創して2050年までにカーボンニュートラルを実現するため本年6月9日、国・地方脱炭素実現会議において「地域脱炭素ロードマップ」が策定されました。

 港区環境基本計画では、2050 年までに区内の二酸化炭素排出実質ゼロ(ゼロエミッション)を実現するとともに「区民、事業者と区が協働して、二酸化炭素排出量削減に取り組み、可能な限り早く排出実質ゼロを達成します」としています。

 また、本年7月15日港区武井雅昭区長記者会見において「脱炭素社会を先導する世界に誇れる環境都心をめざします」と発表しました。

 環境省は2025年までに少なくとも100か所の「脱炭素先行地域」を支援しすることとし「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」200億円(来年度)の概算要求を行いました。脱炭素先行地域応募についての要領は10月に環境省から公表される予定となっていますが現時点においても自治体から積極的に相談してほしいとしています。

 脱炭素先行地域について10類型を例示していますが港区は B)住宅街・団地 C)大都市の中心部の市街地(商店街・商業施設、オフィス街・業務ビル)E)大学キャンパス などの特定サイトが該当し、再開発地域や大学など武井区長が目指す世界に誇れる環境都心として「脱炭素先行地域」に適した地域が多くあります。

 港区は脱炭素社会を先導する世界に誇れる環境都心をめざすため「脱炭素先行地域」を設定するよう港区議会として区に求めていただくようお願い申し上げます。

参考:脱炭素地域づくり支援サイト

例7. EV(電気自動車)導入拡大を求める陳情・請願

車などの交通・輸送機関は、世界のCO2排出の4分の1を占めています。その中でも、自動車は45%を占め、交通機関の中で最も多くのCO2を出しています。運輸部門の脱炭素を進めるには、 EV化は欠かせません(もちろん、クルマの絶対量を減らす取り組みも重要です)。まず最初の一歩としては、公用車のEVへの切り替えや、充電設備の拡充や運送業者、宅配業者、一般住民の所有車両のEVへの切り替え支援などが考えられます。

過去に提出された陳情・請願の例(以下の二つの請願は、採択に至らず「継続審査」となりました)

庁有車への電気自動車(EV)導入を求める請願

2021年11月25日

請願趣旨

港区庁有車への電気自動車(EV)導入を推進することを港区議会として求める

請願理由

 11月13日に閉会したCOP26(第26回気候変動枠組み条約締約国会議)では気温が1.5度以上上昇すると海面が極端に上昇し、壊滅的な干ばつ、猛烈な嵐、現在起こっているよりもはるかに深刻な山林火災などが引き起こされるとし、温暖化を1.5℃以内に抑えること、そのために各国に来年末までに目標(NDC)を強化することを求める合意文書を採択しました。

 港区でも6月に改定された港区洪水ハザードマップにおいて浸水深が大きくなる地点が増加するなど大きな影響を受けています。

 地球規模での気候変動対策求められるなか港区武井雅昭区長は7月15日の記者会見において「脱炭素社会を先導する世界に誇れる環境都心をめざします」と発表しました。 

 港区環境基本計画では「区は庁有車のZEVを含む低公害車化・低燃費車化を進めます。」としており、港区低炭素まちづくり計画において「国や東京都、民間事業者等によるZEVを活用した社会実験や充電設備の整備 を支援します。」としています。

 また東京都はゼロエミッション東京戦略アップデート版で「庁有車(特種車両等を除く。)は原則更新時にZEV化を徹底し、乗用車は2024年度末までに、二輪車は2029年度末までに100%非ガソリン化」としています。

 国は温暖化対策計画(10月22日閣議決定)において、公的機関における取組ー国の率先的取組に「電動車の導入徹底」としており、地方公共団体実行計画事務事業編に記載すべき主な内容として「電動車の導入(中略)環境負荷の低減に寄与する製品・サービスの率先調達など、国が政府実行計画に基づき実施する取組に準じて、率先的な取組を実施する。」

 なお、国の令和3年度CEV補助事業「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(車両・充電インフラ等導入事業)」において地方公共団体が導入する電気自動車も補助対象となっています。

 庁有車への電気自動車の導入は水素自動車の普及と合わせ大気汚染を軽減し、先進的な地球温暖化対策となりクリーンな港区のイメージを形成します。

 区は率先して庁有車への電気自動車の導入を進めていただけるよう港区議会として区に求めていただくようお願い申し上げます。

2021年9⽉9⽇

請願趣旨

港区区有施設へのEV充電設備の設置を推進することを港区議会として求める

請願理由

 港区環境基本計画では、脱炭素まちづくりの推進において「ZEVの普及促進」「区民・事業者への普及・啓発を進めます」とし、気候変動に適応したまちづくりの推進において「災害時におけるZEVの電源活用」、環境行動指針において「ZEVの導入・利用」とし、良好な大気環境の保全において、「区民、事業者等に向け、ZEVを含む低公害車・低燃費車の普及やエコドライブの啓発 を進めます。  区は庁有車のZEVを含む低公害車化・低燃費車化を進めます。」としております。

 また東京都はゼロエミッション東京戦略のなかで2030年新車の非ガソリン化を掲げております。

 今年度時点においては区によるEV充電設備の設置についても国・東京都の補助金を併用して活用できるためEV充電設備を早期に設置することが区民と地域の利益となります。

 水素自動車の普及と合わせ大気汚染を軽減し、先進的な地球温暖化対策となりクリーンな港区のイメージを形成します。

 区は率先してEV充電設備を設置する必要があると考えますので港区議会として区に求めていただくようお願い申し上げます。

例8. 気候対策に欠かせない、みどりの保全・創出を求める

長い間、夏の日差しを遮ってくれている街路樹が再開発などで切られてしまう事例が全国で見られます。街路樹の保全し、さらに増やす試みをしてほしいですよね。

以下、港区で満場一致で採択された請願を共有します。

みどりの保全・創出を求める請願

港区議会議⻑ ゆうき くみこ 様
提出年⽉⽇ 2022年9⽉8⽇
請願者 ゼロエミッション港を⽬指す会


請願の趣旨
港区内において、みどりの保全・創出を推進するよう港区議会として求める
請願理由
 昨年11月13日に閉会したCOP26(第26回気候変動枠組み条約締約国会議)では気温が1.5度以上上昇すると海面が極端に上昇し、壊滅的な干ばつ、猛烈な嵐、現在起こっているよりもはるかに深刻な山林火災などが引き起こされるとし、温暖化を1.5℃以内に抑えること、そのために各国に本年末までに目標(NDC)を強化することを求める合意文書を採択しました。
 港区でも昨年6月に改定された港区洪水ハザードマップにおいて浸水深が大きくなる地点が増加するなど大きな影響を受けています。
 港区環境基本計画では、「基本目標4 水と緑のうるおいと生物多様性の恵みを大切にするまち」と掲げ、施策13では「 豊かで質の高いみどりの保全・創出」を定めています。
 また緑の保全・創出による二酸化炭素の吸収の促進として2030年までに二酸化炭素吸収量を142t-CO2/年とする目標値を掲げています。
 しかしながら6月に公表された港区みどりの実態調査(第10次)報告書では長期的には区道の街路樹は微増傾向にあるものの直近の平成28年から令和3年分では20本の減少となっている。 国土交通省においても街路樹の植樹は「大気汚染、ヒートアイランド、地球温暖化」対策として重要としています。
 港区においては、みどりの保全・創出に積極的に取り組んでおられますが、より一層推進いただけますよう港区議会として区に求めていただけますようお願い申し上げます。

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