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建築物省エネ法の「再エネ促進区域制度」をあなたの自治体でも!

2024.01.11

[目次]

> 太陽光を進め、説明義務を課す再エネ促進区域
> 促進区域が設定されるとどうなる?
> 説明義務制度については条例が必要
> 自治体は、リーフレットを作成してください
> 東京都では全域指定を目指す
> 横浜市が全国に先駆けて設定へ
> 全国で早急に「再エネ促進区域」の設定を
> 自治体に、再エネ促進区域についてきく3ステップ
> 【終了】【2/21(水)開催】ウェビナー「再エネ進めるしくみができました!再エネ促進区域設定を進めよう」
> 参考資料
> 説明用スライド

目次

太陽光を進め、説明義務を課す再エネ促進区域

2022年6月に「建築物省エネ法」が改正されたときに、「建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度」(2024年4月1日施行予定)がつくられました。「促進計画」をつくって促進区域を設定して、太陽光パネルのような再エネ設備の設置を進めようというものです。
(参考:ゼロエミ事務局作成説明スライド 国交省サイト

日本のエネルギー基本計画(2021年)で「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」とされており、その実現のための制度です。 

促進区域が設定されるとどうなる?

促進区域では、建築物の屋根や敷地内に太陽光パネルをつけやすくなる規制緩和(下図参照)をすることができ、再エネに関しての説明義務を課すことができます。(説明義務を課すためには条例が必要です)

▼特例許可(規制の緩和)

たとえば、屋上に太陽光パネルをつけると建物の高さ制限を超えてしまう場合や、カーポートの上に太陽光をつけるときに建蔽率制限を超えてしまう場合などに、条件をクリアすれば特例許可が得られます。

(図:東京都の資料より)

説明義務制度については条例が必要

再エネ促進区域では、建築士には、建築物をたてようとする建築主に対して、建築物へ設置することができる再エネ利用設備について説明する義務が課されます。

その際、説明義務が課される建築物については、市区町村で条例で定める必要があります。なお、この条例は、新規の条例として制定する以外に、他の条例等に内容を規定することも可能だそうです。 

国のガイドライン「 建築物省エネ法に基づく「建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度」促進計画の作成ガイドライン 」の62ページに条例のひな型が用意されています。(下記参照)

自治体は、リーフレットを作成してください

また、「本制度による説明義務の実施に当たり、ガイドラインでは、説明に係る建築士の負担等を考慮して、あらかじめ市区町村が、一般的な情報を基に情報提供用のリーフレットを作成・提供すること」とされています。国交省のホームページにひな型があります。
※ただしこのリーフレットでは太陽光発電設備の費用回収時期が22年となっており、平均的な回収期間より長い期間にしている点に注意が必要です。平均的には10年ほどで回収できます。2024年2月に、グリーンピースなど5つの団体が国交大臣へ修正を要請し、「最新データにて計算した資料を追補版として公開を予定」との回答を受けています。

自治体には、ぜひ、早急にリーフレットを作成してほしいです。

東京都では全域指定を目指す

東京都の指針では「東京都全域を促進区域とすることを念頭に市区町村の促進計画においても、行政区域全域を促進区域とすることを基本とする」としています。

横浜市が全国に先駆けて設定へ

横浜市ではすでに制度案を公表し、パブリックコメントにかけられています。また、横浜市では、建築物の省エネ基準(断熱性能など)についてもより高い性能の説明義務について条例改正をする予定とのことです。(くわしくはこちら

(横浜市制度解説より)

全国で早急に「再エネ促進区域」の設定を 

今以上の気候危機をくいとめるためには、省エネをもっと進めて、同時に再エネを拡大する必要があります。その再エネの拡大のためには、屋根置き太陽光や太陽熱の利用が欠かせません。また、こうした再エネ設備の拡充は、地震などをはじめとする自然災害への備えとしても重要です。すべての市区町村が「再エネ促進区域」を設定するよう、市民として後押ししていけたらと思っています。

全国のみなさま、ご自分の市区町村で、「再エネ促進区域」が設定されるよう力を合わせませんか?
自分のまちでできる3ステップをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

自治体に、再エネ促進区域についてきく3ステップ

ステップ1【自治体に電話】

⑴ 自治体の建築物省エネ法や建築基準法を所管する部署*に電話をする
 *「自治体名 建築物省エネ法」で検索すると分かります。

⑵ これを言う:「建築物省エネ法にもとづく『再エネ促進区域』設定を検討していますか?」
 →「検討しています」:すばらしい自治体です。「ありがとうございます。これからも応援しています。」と感謝を述べましょう。
 →「検討していません」「把握していません」などの場合:ちょっと残念ですが、ここで電話を切らずに、ステップ2に進みます。

ステップ2【要望しよう】

これを言う:「建築物省エネ法にもとづく『再エネ促進区域』制度は、太陽光発電設備設置する際に規制が緩和されたり、建築士に再エネについての説明義務が課されるという、再エネを進めるために効果が見込まれる制度です。ぜひ、設定を検討してくれませんか?」
 →「はい、検討したいと思います」:「ありがとうございます。これからも応援しています。」と感謝を述べましょう。
 →「ご意見として承っておきます」「担当に伝えます」「そうですね…」などの場合:「ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いします」と、とりあえずは感謝を述べましょう。

ステップ3【次のステップはいろいろ】

ご自分の自治体で「再エネ促進区域」を設定してほしいなあ、と思ったら、行政に要望したり、議会に陳情や請願をするなど、アクションを起こしませんか?ゼロエミッションを実現する会では行政に要望するときに使用できる説明スライドや議会への陳情・請願文例を用意しています。陳情・請願を採択してもらうための進め方などは、ぜひ、定例会やSlack「よろず相談」チャンネルなどでご相談ください。

☆議会へ陳情・請願を出してみよう!という方
 ▶︎「【陳情文例】建築物省エネ法の再エネ促進区域設定に関する陳情」はこちら

請願には、議員の紹介が必要です。紹介をお願いするとき、また、陳情への賛同をお願いするときには説明資料をもっていくことをお勧めします。
 ▶︎「【説明資料】建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度再エネ促進区域」はこちら

ゼロエミッションを実現する会では、「再エネ促進区域」の設定を進めるため、協力してくださる市民や行政職員、自治体議員のみなさんとつながりたいと考えています。いつでもご連絡をお待ちしています。
ご連絡はこちらから、またはインスタグラムのDMからお気軽に。

【終了】【2/21(水)開催】ウェビナー「再エネ進めるしくみができました! 再エネ促進区域設定を進めよう」

太陽光発電設備の普及に長年取り組んできたZEH推進協議会理事の小山貴史さんをゲストにお迎えし、「再エネ促進区域制度」について詳しくお話しいただくウェビナーを2/21(水)に開催しました。
ウェビナーの開催報告・紹介リンクにつきましては、下記ブログにて記載しています。

【終了/資料掲載】【2/21(水)18:30-ウェビナー開催】再エネ進めるしくみができました! 再エネ促進区域設定を進めよう

参考資料

・国土交通省
【建築物省エネ法第67条の2~第67条の6】建築物再生可能エネルギー利用促進区域および関連情報 
上記のサイトにガイドラインや説明動画があります。(ただし、太陽光発電設備の費用回収に22年と説明されており、実際の平均的な回収期間は10年程度であるため、注意が必要)

・東京都
建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度
上記のサイトにリンクのある 東京都建築物再生可能エネルギー利用促進計画策定指針には、再エネ促進区域における説明義務や、再エネ設備への特例許可(規制緩和)例、促進計画ひな型、条例ひな型が含まれています。

・横浜市
制度解説
横浜市では全国に先駆けてこの再エネ促進区域を設定する予定です。1月15日から制度案に対するパブリックコメントが開始されます。上記の「制度解説」は、その制度案の概要となっています。

説明用スライド

説明用スライドを用意しました。ダウンロードしてお使いください。
スライドとスライド用の説明は以下になります。

建築物省エネ法が2022年6月に改正されています。
この背景には、建築物からの二酸化炭素排出が全体の3分の1に及ぶことから、新築の住宅・建築物6割に太陽光パネルを設置することなどがエネルギー基本計画でうたわれたことなどがあります。
改正で、(断熱等級4という大変低いレベルではありますが)断熱義務化、省エネ性能表示が推進とともに創られたのが「再エネ推進区域」という制度です。


区域内では、建築士に、建主への再エネについての説明義務がかされます(説明義務化には条例が必要)。また、建物の高さ制限や建蔽率が、太陽光パネル設置の場合に緩和されます(条例に必要なし)。

都道府県ではなく、市区町村が設定するものです。行政全体でも、一部でも可能。(東京都と横浜市は全域をめざしています)


自治体がすることは、計画策定や、啓発活動です。
再エネ促進区域を設定するには、自治体は「再エネ促進計画」を作る必要があります。計画では、区域の範囲と、対象の建築物(用途・規模)を設定します。また、「説明義務」のための情報提供(リーフレットや動画の作成、研修開催など)をおこないます。さらに、建築主(消費者)への情報提供や助言、支援も必要です。

建築士が説明するのは、設置できる再エネ設備の種類(ソーラーカーポートを含み、屋根置き太陽光、太陽熱温水器など)、設備の規模(太陽光発電設備なら、何キロワットか、など)、導入の意義やメリットと費用です。これらを書面にして説明します。

ここで気をつけなければいけないことがあります。国土交通省のウェブサイトに掲載されている説明用リーフレットでは費用が回収できるのが22年とされている点です。実際には、平均的には、10年と少しです。もちろん、日照条件が地域ごとに異なるので、地域や補助金の有無により回収期間は異なります。各自治体では、実情に即した最新のデータを使った回収期間を示す必要があります。

建築士による説明のステップですが、説明は着工までにすればよいことになっています。まず、建築主の意向を確認し、意向に基づいて

また、断熱が義務化(省エネ適合義務)されることにともない、省エネ性能説明義務はなくなりますが、断熱性能や機密など省エネ性能に関しても説明することは可能です。

横浜市は1月15日に制度案を公表し、パブリックコメントを開始しました。横浜市の制度案では、説明制度について、再エネ導入効果だけでなく、省エネ性能向上に関しても説明することとなっています。

(ただし、横浜市は、屋根置き太陽光発電設備の設置義務量をハウスメーカーに課す制度を2025年から開始する東京都、川崎市に隣接しており、東京都および川崎市で義務化の対象となっているハウスメーカーはほとんどが横浜市でも建築可能であることから、太陽光発電設備の義務化をかなり有利に進めることができます。パブリックコメントでは、断熱性能については最高度の等級7までをしっかり説明することともに、太陽光発電設備の義務化も提案できると思います。)

どんなことが特例として許可されるかというと、屋根に太陽光パネルを搭載した場合に、高さ制限にかかってしまう場合、その部分が許可されたり、建ぺい率の関係でカーポートを建てることが不可である場合でも、ソーラーカーポートなら許可されたり、ということになります。詳細は別途計画に書き込まれます。

再エネ促進区域で適用されることの一つに、建築主の「再エネ設置設備努力義務」があります。

わたしたちと一緒に活動しませんか?

ゼロエミッションを実現する会では、市民からの自治体・議会へのアプローチを行っています。
今まで取り組んだことのない方でも大丈夫。

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