来年度予算について要望しよう
2023.06.08
自治体の来年度の予算編成方針が出されるのは、標準的には8月です(下表)。市民からの要望は6月から、遅くとも8月上旬にはおこなっておきましょう。「予算」といっても、さまざまな施策・制度について「つくってください」と要望ができます。気候変動対策の強化について「誰からも要望がなかったから」と予算がつかない…なんてことにならないよう、ぜひ、予算を要望しましょう。もとはと言えば、わたしたちの税金。使い道を提案するのは当然ですね。
目次
予算の作られ方
6〜8月 | 政党などが団体などからヒアリング |
8月 | 予算編成方針 |
10月上旬 | 予算要求(予算見積書) |
10月中〜下旬 | 財政課長ヒアリング |
11月上旬 | 首脳部ヒアリング、事務ヒアリング |
12月上旬〜1月 | 財政課長、部長副首長・首長査定 |
1月下旬 | 予算案の決定 |
2月上旬 | 予算案のプレス発表 |
2月下旬〜3月上旬 | 予算案の議会審議 |
3月下旬 | 予算案の議決 |
ゼロエミッションを実現する会・横浜でも「予算要望書」をつくっています。その中身も利用して、文例をつくってみました。ぜひ、参考にして、行政の首長(知事、市長)、財政局や、関連局(環境局、産業局、建築局、総務局などなど)、自治体議会の会派(政党など)に文書で提出してみませんか?
提出のしかた
提出は、首長なら、政策局や知事室などに電話して、予算要望署を提出したい旨、相談します。首長にあえなくても、担当者と面談などを申し込んでみましょう。各部局や、会派(政党など)に提出したい場合も、書面で提出するだけより、面談を申し込んで、要望の背景や理由などを説明するほうが提出するだけより、理解が深まります。面談の申し込みは、電話をして相談するのが、もっともおすすめです。メールでは返事に二週間ほどかかる場合があります。会派は、一番大きい会派を優先に。やっぱり、もっとも発言力がありますので。
電話が苦手な方は、面談の申し込みもメールでも差し支えありません。面談ができなくても、書面提出だけでも、なにもやらないよりはずっとよいと思います。できる範囲で、ぜひ、取り組んでください。
わからなかったり、不安があれば、いつでもゼロエミ事務局にご相談ください(毎週土曜日朝10時から定例相談会をしています。また、参加者の方は、スラックからもご相談が可能ですーーこちらから)。
予算要望書の構成(例)
要望書の構成は以下のようにしてみました。
・要望者の紹介(個人でも団体でも紹介文を一段落つけることをおすすめします)
・あいさつ(日頃より… 感謝申し上げ… ご配慮を賜りますようお願い申し上げます など)
・はじめに(気候変動の深刻化・電力需給ひっ迫・電気料金値上げへの対応にもなる など)
・記 として要望事項 1.2.3….
あいさつ文例
あいさつ文例です。あくまで、「例」ですので、お好きにアレンジを….
…………..
日頃よりの、市民やとりわけ将来を生きる子どもたちのために、深刻化する地球温暖化に対するお取り組みに感謝いたします。このたび、来年度予算についての提案・要望をまとめました。本提案・要望を今後の予算編成や施策立案に反映していただけますよう、心からお願いいたします。
はじめに文例
はじめに の部分の例です。こちらもぜひ、ご自分の思いを一段落ぐらいにまとめてみてください。
…………..
気候危機が深刻化しています。日本でも、台風の大型化などで毎年大きな被害がでています。熱波で、夏に子どもが外で遊べない、熱中症の緊急搬送が増えるなど市民の暮らしが脅かされています。
さらに、電力需給ひっ迫・電気料金値上げが市民の暮らしに追い討ちをかけています。
こうした危機にみあった施策と予算編成をお願いします。
予算要望の内容(項目)例
すべての部局が、電気を使い、建物の中で仕事をし、移動手段も使うので温室効果ガスを排出していますから、すべての部局の政策や事業に「脱炭素」の視点をいれることが大事です。また、国の交付金情報をしっかり把握して有効活用してほしいと思います。まずは、こうしたすべての部局で重要となることがらを述べ、次に分野ごとに整理するとわかりやすいのかなと思います。以下、分野別に整理しました。
・すべての部局の予算編成に、施策に「脱炭素」の視点を入れてください
すべての部局が所轄する建築物、所有車、あらゆる調達に、断熱性能はどうか、再エネ設備は搭載できるか(PPA含み)、再生可能エネルギーの電気が使われているか、自動車ではなく鉄道・自転車で代替できるか、など脱炭素の視点でチェックをしてください
・国の交付金(「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」など)を各局がしっかり把握して、脱炭素施策に支援を受けてください。
断熱や再エネの拡大など、脱炭素施策は長期的にみてコスト削減となるが、交付金を利用することにより、一層のコスト削減ができます。脱炭素に関する国の支援はますます拡大しているので、気候対策や環境を担当する部局だけでなく、すべての部局がしっかり把握して支援をうけてください。
【建築物の脱炭素:住宅、ビル、産業、教育などを司る局に関連】
・建築物の断熱性能の向上と太陽熱温水器・太陽光発電設備設置とあわせ真の『ZEB・ZEH』推進を
特に学校など公共建築物、集合住宅をはじめとして、建築物の断熱性能の向上策のよりいっそうの推進をお願いいたします。地域の工務店が高いレベル(断熱等級6,7)の断熱等級の建物を建てることができるよう、省エネ計算支援など、支援策をお願いします。また、等級6に関して新築・既存の建築物に対し、義務化をしてください。太陽光発電設備については、東京都・川崎市に続いて標準化のための条例改正をしてください。
特に公共建築物については、すべての建築物について、建て替え時期を逃さずに断熱等級6以上をめざしてください。今、建て替えればゼロカーボンを達成しているべき2050年にも存在するのですから、今、建て替える建築物は、太陽熱温水器・太陽光発電設備設置とあわせ、真の『ZEB・ZEH』(ネットゼロエネルギービルディング/ハウス)さらにマイナスカーボンをめざすべきだと思います。
日本では、住宅の3割が無断熱、断熱材がはいっていない状態です。
(以下の現行基準というのは等級4で、省エネ率は、横浜市が「当たり前」を目指すという等級6,7に比較するとそれぞれ47%、70%も省エネです。)
太陽光については、PPA方式(太陽光発電設備を無償で設置)での太陽光発電設備設置を全公共施設で検討してください。そのことにより、電気料金として資金が域外に流出するのを防ぐことができます。
参考: ブログ「断熱と太陽光がなぜ大切か、どうすれば進むか」
【交通の脱炭素:交通、まちづくり、産業、などを司る局に関連】
・公共交通機関と自転車活用の推進と公用車、市バスのEV化をより一層の推進を
運輸部門のCO2排出削減には、公共交通機関と自転車活用の推進、電気自動車(EV)への転換、が有効です。
公共交通機関の高齢者への無料パス化、一般運賃値下げ、利用状況からダイヤを見直し、より多くの市民が公共交通機関を利用するようにしてください。自動車利用者に、どのようなときに自動車を利用するか調査をし、どうしたら減らせるかを考えてください。
また、公用車の代替えの際には、ガソリンを使用するハイブリッドではなく、EV車を選んでください。国は、乗用車は、2035年までに、新車販売で電動車100% を目指しています。まず「隗より始めよ」です。
ゴミ収集車などの特別車、また、市バスの代替へも同様です。EV車普及のためのインフラ整備もより一層進めてください。
ごみ収集車やバスもEVを導入する自治体が増えています。
参考:2023年1月17日
日本バス協会、EVバス導入30年に1万台の目標公表
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC108020Q3A110C2000000/参考:2023年2月15日
大型EⅤ路線バスとオンサイトPPAによる太陽光発電を導入します
https://www.seibubus.co.jp/news/uploads/384d9626f765967f35594e2448015be41c133d1f.pdf
参考:2022年3月29日
EVごみ収集車を導入 厚木市、今後追加する方針
https://www.kanaloco.jp/news/government/article-888491.html
【消費・食・廃棄物の脱炭素:産業、環境、資源循環などを司る局に関連】
・菜食、フードロスの削減策を
給食の菜食オプション、関連業界への研修制度、フードバンクしくみづくりや支援
・使い捨てプラスチックの削減策を
公共事業でのリユース・リフィル・量り売り/リユース容器貸し出し、返却・洗浄までの一連のサービスや量り売り事業支援・奨励(カフェ、コンビニ、スーパーマーケットなどのチェーン店など)/リユース・リフィルサービスの導入義務づけとインセンティブの設定 (事業者によるリユース目標の設定義務や各種助成など)
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ゼロエミッションを実現する会では、市民からの自治体・議会へのアプローチを行っています。
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