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学校の断熱改修を、早急に進めてください 学校断熱まとめ

2023.08.08

今年は観測史上もっとも暑い夏になると言われています。来年はもっと早く、もっと暑くなるのではないでしょうか。

熱中症で緊急搬送される人の数も7月だけで3万人を超えたそうです。

「我慢しないでクーラーをつけて」という呼びかけがされています。でも、エアコンをつけても室温30度以上… そんな教室が日本中にあります。

エアコンが効かない…それは、断熱がなされていないためです。

教室の天井や、壁に断熱材が入っていない、窓もシングルガラス… がほとんどと言われています。

実は、2025年から断熱は義務化されますが、今年もこの暑さ。学校の断熱改修を早急に進めてほしいです。 (「学校の断熱改修を、早急に進めてください」署名はこちら


学校断熱って… の前に断熱とは

断熱とは、断熱…「熱」を「断つ」。建築物の屋根、壁、床下などに断熱材を入れたり、窓を樹脂サッシや複層ガラスなどにして、外の熱を伝わりにくくします。

国土交通省のウェブサイトより

日本の家、断熱されてる?されてない?

日本の家の断熱事情についてです。

日本の既存住宅、約5400万戸の断熱性能、オレンジで示されているのが現在の基準でを満たしている家で、1割程度しか存在していない。残りはそれ以下の断熱性能しかありません。

それでも、無断熱は3割少しです。

学校の断熱事情は?古い学校はほぼ無断熱?

では、学校はどうでしょうか。

断熱の基準ができたのが1980年。(低い)現行基準は1999年から。文部科学省にといあわせたところ、そのあと、断熱改修をした、ということはなかったとのことでした。つまり、古い学校はほぼ、無断熱、ということになります。

エアコンはついたものの、効かない?

2018年7月に豊田市の小学1年生が、熱中症で亡くなった事件を受けて、その年の秋にエアコン設置の予算がつきました。いまでは、寒冷地以外のほとんどの教室についています。

しかし、断熱がされていない教室では、エアコンが効かない、という事態が発生しています。

2023年7月18日 A小学校最上階教室(撮影・写真提供 東京大学・前真之准教授)

この写真は、ある小学校の最上階の教室の表面温度分布です。調査をおこなった東京大学大学院前真之准教授は「日射熱で高温になる屋根の熱がそのまま天井に伝わるため、天井の温度は42℃に達しています。エアコンの設定温度は17℃で、10℃の冷風が吹き出ししていますが、断熱不足で熱侵入が大きすぎるため、室温は31℃までしか下がっていません」と解説しています。

(参考:解説動画「この夏 教室がめちゃ暑い! 2035年までに全ての教室の断熱改修を国と自治体が進めるべき理由 (前真之@東京大学)」

断熱改修で、子どもをまもろう

いま、日本全国で、断熱されていない教室の天井、壁に断熱材をいれ、内窓をつけるなどの改修が、市民や地域の工務店の協力でおこなわれています。

資金は、クラウドファンディング(寄付)で集め、実際の改修は、専門家の指導のもと、ワークショップ形式で、生徒自身がおこなうケースが多いです。それはもちろん、学習効果をねらってのことです。

このワークショップ形式による断熱改修は、いままで30教室くらいで行われてきました。

その効果は実証されています。

(東京大学 前真之准教授の発表資料より)

上の写真の教室では、窓の遮熱と天井断熱を施した結果、6度から8度も温度が下がっています。

また、断熱改修の効果は暑さ、寒さの改善だけではありません。授業への集中力も改善します。(上グラフ 「環境を考慮した学校施設づくり事例集-継続的に活用するためのヒント」文部科学省より)

断熱改修ワークショップは、気候変動の解決策についてなどを知る学習効果が得られ、重要なプロジェクトです。

ただ、教室は全国に何十万室もあるので、やっぱり、国の責任で断熱改修をしていくことが重要だと思います。

「学校の断熱改修を、早急に進めてください」署名にご協力を

断熱ワークショップを地元の学校で企画しているゼロエミッションを実現する会・横浜が「学校の断熱改修を、早急に進めてください」という署名をchange.org署名サイトで発信しています。署名は7月20日に開始し、70時間で10,000筆を超えました。

署名「学校の断熱改修を、早急に進めてください」

断熱改修は、健康をまもり、CO2とコストを削減

断熱改修は、子どもたちの健康や快適性向上だけでなく、温室効果ガスの削減および電気代の削減になります。

文科省は、体育館について空調設置と合わせて断熱も “要請”

2023年4月、文科省は「学校施設環境改善交付金」を発表し、地域の避難所としての役割も担う体育館について、空調設備の設置の補助をしています。そのとき、空調設置とあわせ断熱性も確保するよう、自治体に要請しています。

この「学校施設環境改善交付金」は、教室の断熱改修に使うこともできます。ただ、条件が厳しく、教室の断熱改修には使われていないようです。

学校環境衛生基準には「教室の室温は18℃以上28℃以下が望ましい」とあります。しかし、断熱されていない教室では、28℃を超えていたり、あるいは、28℃を確保するためにエアコンの設定温度を18度以下にするなどしています。

電気料金が高騰している今、学校の電気料金は自治体の財政を圧迫しています。

もちろん、もっとも大切なのは子どもたちの健康です。

文部科学省がとりまとめた報告書 「2050年カーボンニュートラルの実現に資する学校施設のZEB化の推進について」でも、「適切な水準の省エネルギー技術や再生可能エネルギー設備を導入していくことが望まれる」としてその例として壁や窓の高断熱化をあげています(P20)。

気候対策としても有効な「断熱」

学校に断熱を施すことは、健康を守り、学習環境を向上させ、そして、地球温暖化の原因である二酸化炭素の削減にも大きく貢献します。

ゼロエミッションを実現する会・横浜や埼玉、葛飾区の仲間が、自治体にも、学校断熱改修を求めています。

あなたの自治体でも、学校断熱改修の予算を確保するよう、自治体に提案しませんか?

また、地元の学校を訪問しての実態調査なども大切です。

ぜひ、事務局にお声がけください。

いっしょに、学校の断熱改修を実現しましょう。

ゼロエミッションを実現する会・横浜の学校断熱への予算を求めた要望書

学校断熱に関する報道

朝日新聞 (取材考記)エアコン利かず 教室の断熱、予算化が必要 石井徹 2023年8月8日

共同通信 暑過ぎる教室、改修求める 市民や研究者が署名サイトで開始 2023年8月7日

朝日新聞 暑い教室、断熱効果てきめん 生徒協力「エアコン利く」2023年7月18日

朝日新聞 エアコン普及したけど…利き悪い教室、生徒が断熱工事 知事に直訴も 2023年7月18日

朝日新聞 熱中症リスク、授業中にも 識者「断熱改修、文科省が予算化を」2023年7月18日

東京新聞 夏は涼しく冬は暖かい教室に 市民が改修「断熱ワークショップ」 エアコンの効果向上、快適に省エネ 2023年7月17日

神奈川新聞 「断熱の輪」藤沢から 脱炭素へ共に歩み、深めた理解 2023年5月16日

神奈川新聞 「断熱の輪」藤沢から 効果実感、教室がみるみる暖かく 2023年5月15日

共同通信(動画)小学校の教室を「断熱化」 神奈川・藤沢で親子ワークショップ 2023年4月19日

東京新聞 断熱改修 小学校で実験 埼玉県内の専門家団体 子どもら手伝い 省エネ、木の香り好評 2022年12月20日

葛飾・立石の清和小で「断熱ワークショップ」 省エネの大切さ学ぶ 2022年9月9日

学校断熱改修を伝えるインスタグラム

Sofny 流山市の小学校の断熱改修の様子

埼玉の脱炭素を実現する会(仮) 流山市の小学校の断熱改修の様子


学校断熱改修について、詳しい情報は以下もご参照ください。
学校建築脱炭素研究会






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