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議会陳情提出:2030年における中野区のCO2削減目標の早期達成とさらなる削減努力について

2021.09.01

陳情書

2021年 9⽉1⽇
中野区議会議⻑殿

件名:2030年における中野区のCO2削減目標の早期達成とさらなる削減努力について

住所 
株式会社コータロー代表取締役
ゼロエミッションを実現する会
⽒名 江澤孝太朗

主旨

① 次期中野区環境基本計画における2030年のCO2等排出量削減⽬標の早期達成とさらなる削減を求める。

② 次期中野区地球温暖化対策地方公共団体実行計画(事務事業編)における2030年の中野区区有施設のCO2削減目標の早期達成とさらなる削減を求める。

理由

 2020年10月に菅首相が2050年ゼロカーボンをめざすことを宣言し、2021年には2030年のCO2削減目標を26%から46%に引き上げ、さらに50%の高みを目指すとしている。

政府の2030年度までの削減目標が46%の場合、2021年7月の地球温暖化対策計画(案)で示された分野別削減目標を中野区の分野別排出量にあてはめると、2030年度までに2013年度比で約54%削減となる。さらに政府が50%削減を目指すことを決定した場合には、中野区の分野別排出量にあてはめると約60%の削減が必要となる。

 また、東京都は2021年3月のゼロエミッション東京戦略で、2000年比でCO2の50%削減に向けた分野ごとの実現ステップを記載しており、東京都のCO2削減目標を中野区にあてはめると、2013年度比で約59%が削減目標となる。

 中野区においては、民生家庭部門と民生業務部門が約79%のCO2排出を占めている。購入電力からのCO2排出は約64%であり、上記部門のCO2削減対策は、断熱、省エネ、再エネ利用等既存技術で十分に可能であり、CO2の削減は他自治体と比べて有利な環境にある。削減の道筋は本年1月の区民委員会における学習会においても提示されている。

 国や東京都の自治体向けCO2削減予算は増加しており、他の自治体に先駆けて実行することで、中野区の予算をできる限り使わずに国や都の補助金を活用してCO2削減を実現でき、地域経済の活性化や住民の豊かな生活に繋げることができるため、次期中野区環境基本計画における2030年度のCO2等排出量削減⽬標の早期達成とさらなる削減を求める。

 中野区区有施設への再生可能エネルギー電気について区は積極的に導入してきたことから、第3次中野区地球温暖化対策地方公共団体実行計画(事務事業編)(案)では、2019年度までの6年間で中野区区有施設のCO2排出は31.3%減少しており、2030年の中野区区有施設のCO2削減目標は46%(2013年度比)とされている。中野区のCO2削減実績を考慮し、率先垂範を区民に示すためにも、次期中野区地球温暖化対策地方公共団体実行計画(事務事業編)における2030年の中野区区有施設のCO2削減目標の早期達成とさらなる削減を求める。

今後の流れ

10月4日 議会運営委員会で陳情の取り扱いを協議
10月6日〜8日 委員会で審査
10月15日 本会議で採決
(採択・不採択・継続審議のいずれか)
採択になると、趣旨の実現を執行機関に要請することになります。

 

補足資料

2021年7月の地球温暖化対策計画(案)https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/ondanka_wg/pdf/008_03_00.pdf
p17.

分野別削減比率計算表
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1pwhaMj0Sxy-YbSsOQVFf9cWg5RPd1PCzNHfPlmuQCHY/edit?usp=sharing


国際的議論と日本の状況

既に産業革命以前と比較して地球の平均気温は1.1度上昇している。パリ協定で1.5度以下に抑える努力を追求するとされているが、世界各国の現在のCO2削減目標を合わせても、早ければ2030年には1.5度上昇に到達し、21世紀末には4度前後の気温上昇となることが予想されている。

 既に気候変動の影響は甚大であり、未来世代のためのみでなく、今を生きる私たちが安心して生きることができるかどうかの瀬戸際であるという認識は国連をはじめ世界各国で共有されている。2030年までの9年で集中的に取り組むことが重要であることは、現環境大臣からも再三発言されている。

実績からの数値分析

 基準年度から2020年度までのCO2削減実績は1年平均約2.47%。その積み上げの延長線上の2030年目標が44.4%削減となり、案で示されたCO2削減目標となる。

 「脱炭素社会の構築は今から10年が勝負、特にここ5年に集中的に投資する」との小泉環境大臣の発言にもある通り2030年に向けてストレッチした高い目標の設定が必要である。

 第三次中野区環境基本計画では2020年度のCO2削減目標が5.3%であったが、2017年度実績で既に12.3%の削減を達成しており、削減率を直線で引くと2020年度実績では19.7%の削減を達成している可能性が充分にある。

 前計画の目標を14%も上回って削減できたことは中野区および区民の努力により達成されたと同時に、目標が十分に野心的でなかった可能性も考えられる。

中野区の脱炭素への取り組み例

以下、できる限り中野区の予算を使わずにCO2削減を進める案を提示する。議論の叩き台としてご活用ください。

 特に、省エネ(断熱と省エネ機器)と再エネ普及はCO2削減の2本柱であり、省エネはZEHを進めることにより、区内工務店の新規建築あたりの受注金額増加、断熱改修の受注など区内事業者の活性化に繋がり、再エネは太陽光、太陽熱、燃料電池等の活用により区外に流出している電気代やガス代を節約することに繋がり区民の可処分所得の増加に繋がる。

1.国・東京都の施策を活⽤し中野区内の新築建築物のZEH・ZEB・ZEM(ゼロエネルギーハウス・ビルディング・マンション)を強⼒に進める。高断熱建築物認証制度をより高い断熱基準であるHEAT20のG2かG3以上に改定する。

2.国・東京都の補助⾦を活⽤し中野区内の既存建築物の省エネ断熱改修・ゼロエミッション化を強⼒に進める。

3.国・東京都の補助⾦を活⽤し中野区としての⽬標を定めエネファーム・業務⽤燃料電池の導⼊を強⼒に進める。

4.中野区全体の再生可能利用エネルギーの目標を設定する。東京都のみんなで⼀緒に⾃然の電気事業を活⽤し中野区⺠・⼩規模事業者が再⽣可能エネルギーの電気を利⽤するよう強⼒に推進する。

5.区内事業者にRE100宣⾔を促し再⽣可能エネルギー100%の電気を利⽤するよう強く要請する。中野区内の企業では丸井グループ、キリンホールディングスなどが宣言済みである。

6.東京都の住宅⽤太陽光発電初期費⽤ゼロ促進事業を活⽤し既存住宅への太陽光発電設置を中野区としての⽬標を定め強⼒に推進する。住宅以外の建物についても太陽光発電事業者(例東京ガス)リース事業者と協⼒し初期費⽤ゼロの太陽光発電設置を強⼒に進める。東京都再⽣可能エネルギー設置補助⾦(2/3補助)を活⽤した太陽光発電の設置を中野区内事業者・学校法⼈・社会福祉法⼈・医療法⼈に周知し強⼒に推進する。

クールネット東京の太陽光・ポテンシャルマップでは、中野区の屋根平均で3.3kwの太陽光発電を設置し、年間4,317kwh、CO2削減は1棟平均1.6tで中野区合計で112,385tの削減が可能との試算がある。

7.新築の区有施設について災害時の活⽤の観点も含めZEB(ゼロエネルギービルディング)を最低条件とする。

8.既存の区有施設について断熱改修・燃料電池導⼊などを早急に進め、遅くとも2030年までに脱炭素化を実現する。

9.中野区中⼩企業融資にゼロエミッション融資を導⼊し太陽光発電・燃料電池・⽔素⾃動⾞を広く対象とする。東京都制度融資・東京都信⽤保証協会保証についても拡充するよう要請する。

10.環境省・国⼟交通省・経済産業省の補助⾦を活⽤し、なかの里・まち連携でつながりのある自治体を中心として、全国の⾃治体と連携協同し地域電⼒会社を設⽴し再⽣可能エネルギー発電所を建設設置し当該地域への地産地消電⼒供給を⾏うとともに中野区へ電⼒供給を⾏う。

11.中野区内を⾛⾏する都営バスを全て燃料電池バスとするよう東京都に要請する。

12.区有施設全ての電⼒調達においてRE100基準を導⼊する。全施設の入札条件、入札結果、エネルギー供給源内訳、CO2排出係数を公開する。

13.区⺠・事業者に対し、地球温暖化、気候変動に関する認識を⾼めるための広報・啓発を⾏い適切な⾏動を促すとともに、国・都の諸制度について広報・コンサルティングを中野区として積極的に⾏う。

14.区⺠・事業者・区が脱炭素社会に向けて協力する「中野ゼロカーボンシティ協議会(仮称)」を作り、ボトムアップでの脱炭素社会実現を後押しする。

15. 札幌気候市民会議、川崎脱炭素市民会議を参考に、「中野気候市民会議(仮称)」を作る。区民の無作為抽出によって構成した約30名の区民代表による複数回の討議によって、中野区民が描き実施を要望する2030年までの施策を中野区へ提言する。中野区、中野区議会は、提言内容を受けて対策を加速する。

区有施設の再エネ導入について補足

 環境省は「気候変動時代に公的機関ができること~「再エネ100%」への挑戦~」(公的機関のための再エネ調達実践ガイド)を公表し、自治体での再生可能エネルギー電気の導入を推進しています。

 現在審議中のエネルギー基本計画素案における再生可能エネルギー目標は、2030年までに現行の約21%から36〜38%への引き上げが提示され、東京都では2030年までに現行の約18%から50%への引き上げを目標としていることから、電力のCO2排出係数がさらに下がることは十分に予測できるため、現行のCO2削減目標46%は十分に達成できると考えられる。

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