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日本の方針の中で、気候対策の位置付けは?

2026.07.29

7月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2026『責任ある積極財政』元年 ~日本の挑戦を起動する!~」というタイトルの文書が閣議決定されました。
この文書は、「骨太方針2026」と呼ばれる、政府が毎年夏頃に閣議決定する中長期的な経済財政運営の基本指針です。

ここで示された政策分野が、日本の「重点政策」です。そのため、産業界や地方自治体にとっても、非常に重要な文書となります。 

今回、副題として「『責任ある積極財政』元年 ~日本の挑戦を起動する!~」が掲げられています。本文は42ページあり、同時に1枚の「概要」と17ページの「骨太方針2026PR資料~政策ファイル~」が公表されています。

概要には、「Ⅰ.経済の現状認識・課題」、「Ⅱ.経済財政運営の基本方針」、そして 「強い経済」の実現に向けた戦略的投資・分野横断的な取組について、責任ある積極財政に基づく「中長期経済財政計画」についてがまとめられています。

  

「骨太方針2026」で脱炭素がどう位置付けられているか、見てみます。

脱炭素は、17の日本成長戦略の一つ「資源:エネルギー安全保障・GX」として位置付け
脱炭素は、17の日本成長戦略の一つ「資源:エネルギー安全保障・GX」として位置付けられています。

気候危機が加速のおそれ
しかし、以下に述べるように「2050年カーボンニュートラル目標の実現に向け、エネルギー自給率を向上すべく」はよいですが、その手法や方針は、気候危機対策の観点から見れば、時代に逆行する「悪いニュース」ばかりです。 

悪いニュース1>  原発回帰
気候危機は二酸化炭素の排出を「今すぐ」減らさなければならない緊急事態。建設に数十年単位の時間がかかり、事故のリスク、核のごみ最終処分という未解決の問題を抱える原発や、核融合(フュージョン)も含め、気候危機のスピードに合わない技術への投資は悪手です。

<悪いニュース2> 化石燃料依存継続
天然ガス(LNG)への燃料転換とありますが、天然ガスは石炭よりマシというだけで、燃やせば大量のCO2を出し、採掘過程では強力な温室効果ガスであるメタン漏洩を引き起こす化石燃料です。さらにアジア諸国に火力発電の混焼技術などを輸出する方針は、アジア全体の脱化石燃料化を遅らせてしまいます。

<悪いニュース3> ペロブスカイト偏重
日本発の技術・ペロブスカイト太陽電池の開発自体は良いニュースですが、偏重はリスクとなります。すでに実用化されている太陽光パネルも、屋根置きの設置率は1割程度と大きなポテンシャルがあります。風力発電(特に洋上風力)の導入加速、送電網(グリッド)の増強といった「今すぐできる主力再エネの拡充」こそ、進めるべきです。

 

まとめ
今回の骨太方針は、気候危機を回避するための本質的なエネルギー構造転換からはほど遠く、「気候危機の加速を呼ぶ悪いニュース」と言わざるを得ません。省エネと再エネでのエネルギー安全保障こそとるべき戦略です。

 

以下、関連部分の抜粋です。

(資源・エネルギー安全保障・GXの強化)
 エネルギーは、国民生活及び国内産業の基盤であり、立地競争力強化のためにも、安定的な供給と価格の抑制の両立が不可欠である。中東情勢も踏まえ、資源・エネルギーの対外依存度の高さや調達先の集中から生じる脆弱性を克服し、備蓄を含むエネルギー需給構
造の強靱化を図る。モビリティ・インフラの活用や省エネを推進しつつ、我が国の石油等の上流権益の確保や供給源の多角化、安定的な輸送・流通体制の確保を図る。
 2050年カーボンニュートラル目標の実現に向け、エネルギー自給率を向上すべく、「成長戦略」及び「分野別投資戦略」を踏まえ、危機管理投資の観点から大胆なGX投資を進め、脱炭素電源の最大限活用や天然ガス等への燃料転換を進める。再エネについては、地域の理解やS + 3Eの原則を前提に、ペロブスカイト太陽電池や次世代型地熱発電設備に係るサプライチェーンを強靱化し、導入を拡大する。
 安全性の確保や地域の理解を大前提に、原子炉の再稼働加速や次世代革新炉の開発・設置に取り組む。世界に先駆けたフュージョンエネルギーの早期社会実装を目指す。避難道路の整備を含め、地域の実情に応じた原子力防災体制の充実を図るとともに、最終処分に係る調査地域の拡大等に取り組む。また、安全規制の見直しや、再処理施設稼働を見据え独立行政法人の設置等保障措置枠組みの強化を検討し、次期通常国会への法案提出を目指す。
 アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)を通じ、アジアにおける脱炭素化に貢献するとともに、アジアの成長力を取り込んでいく。「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ(パワー・アジア)」により、アジア各国等との協力等を通じ、経済・エネルギー強靱化を進化させていく。
 重要鉱物の供給源多角化の支援、国家備蓄強化に取り組む。南鳥島周辺の海底レアアース資源など、海洋資源の確保に向けた取組を加速する。また、「循環経済行動計画」に基づくメタルリサイクル推進戦略等を通じ、再生資源に係る供給サプライチェーンの強靱化等に取り組む。

 

 

全体像をつかめるように、概要もまとめておきます。

 

Ⅰ.経済の現状認識・課題
・日本の潜在成長率は、長年にわたる「未来への投資不足」により、主要先進国と比べて低迷。
・主要先進国では、官民連携の大規模かつ長期的な財政支出を伴う産業政策が潮流。日本もそうした変化を踏まえた国家運営が必要。

Ⅱ.経済財政運営の基本方針
・投資不足の解消と世界の産業競争に対応するため、「責任ある積極財政」の考え方の下で「危機管理投資」や「成長投資」を進め、中長期的な成長力を強化。
・民間投資を引き出すために政府予算の予見可能性を確保。「強い経済」と「財政の持続可能性」を両立。2027年度を「責任ある積極財政元年」と位置付け。

 

<「強い経済」の実現に向けた戦略的投資・分野横断的な取組について>

①日本成長戦略の推進
・17の戦略分野における62の主要な製品・技術等の官民投資ロードマップに盛り込んだ施策パッケージの実行(2040年度まで370兆円超の官民投資)
・8つの分野横断的課題への具体策、政策パッケージの実行

②成長基盤の強化
・新技術立国、スタートアップ
・AX/DXの推進、フロンティアの開拓(宇宙・海洋・G空間)
・規制・制度改革の徹底 企業の経営力向上
・成長を支える資金の供給・確保
・資源・エネルギー安全保障・GXの強化

③強い地域経済の構築
・地域未来戦略の推進
・賃上げ環境整備
・持続可能で活力ある国土の形成
・交通空白の解消、観光立国
・農林水産業の成長産業化、食料安全保障の強化

④人材力の強化・人材総活躍
・人材の育成・能力発揮
・人材総活躍(若者・女性の活躍、孤独・孤立対策等)

強い外交・安全保障の確立
・外交力・安全保障・情報力の強化
・経済安全保障の強化

国民の安全・安心の確保
・防災・減災・国土強靱化の推進、東日本大震災・能登半島地震への対応
・治安・安全の確保(犯罪対策、安全・安心な暮らしの確保、環境リスクへの対応・気候変動適応策)
・外国人政策の推進

 

<責任ある積極財政に基づく「中長期経済財政計画」>

【目指す経済・財政の姿】
・GDP:2040年度* 1,100兆円に近づく
・国の経済規模(GDP)に見合ったレベルまで借金の割合を下げる
・成長率:できるだけ早期に、実質で1%超、名目で3%超を定着、更に引き上げ
*2040年度は、高齢者人口がピーク(正確には2043年)に向かう過程で、現役世代が激減する深刻な局面。

【どうやって実現するか】
・単年度にとらわれない中長期的な財政目標の設定
・デフレ前提の抑制型から、経済拡大に見合う柔軟な予算編成
・「強く豊かな日本」投資枠の創設など
・市場への透明な説明と政策効果の検証・見直し
・全世代型社会保障の構築等、国民生活の基盤となる重要政策を推進

 

以上


今回見たように、国の経済政策大方針は、脱炭素にとって悪いニュースが多いと言わざるを得ません。
だからこそ、いっそう、自治体での脱炭素をわたしたち一人ひとりの力で(もちろん、一人ひとりがつながって、一人の力を何倍もにすることで)進めていきましょう。

でも、どうやって?と思ったら、ぜひ、ゼロエミ事務局までご連絡ください。
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