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今回も進んでいない自治体の太陽光・EV化・建築物省エネ・再エネ調達:地域脱炭素の推進に関する状況調査の自治体率先行動のまとめ

2026.06.19

環境省が毎年実施している「地域脱炭素の推進に関する状況調査」は、国内の自治体を対象に、温暖化対策や気候変動への適応状況を把握するためのものです。(結果はこちらからご覧になれます)

この最新の調査報告書の概要から自治体の率先行動(事務事業)についての部分を、以下にまとめました。

なお、環境省の「脱炭素地域づくり支援サイト」の「脱炭素地方公共団体実行計画 脱炭素取組状況 調査結果」のページの「回答データ(オープンデータ)」で、自治体ごとの回答が見られるので、ぜひ、ご自分の自治体の回答を確認してみてください。

太陽光発電の目標を設定している自治体は3割

太陽光、建築物省エネ、電動車、LED、再エネ調達について目標設定しているかを聞いています(下図)。
まず、太陽光発電の目標を設定している自治体は約3割でした。建築物の省エネや電動車についてもほぼ3割です。二酸化炭素削減に大きく貢献する再エネ電気の切り替えに関しては24%程度。これも進んでいないですね。

出典:令和7年度地域脱炭素の推進に関する状況調査調査結果報告書 概要版P18より

太陽光目標設定は、都道府県で約30自治体、政令指定都市で13自治体、中核都市で約30自治体

全体で3割でしたが、都道府県や政令指定都市・中核都市では、それぞれ、63%(約30自治体)、65%(約13自治体)、50.8%(約30自治体)でした(下図)。 目標がないのであれば、目標達成への具体的な計画もないはずで、それでは今後の太陽光設置の拡大が期待できません 。「目標の設定を」という声をあげていかなければいけませんね。

出典:令和7年度地域脱炭素の推進に関する状況調査調査結果報告書 概要版P21より

設置可能な建築物の50%以上に太陽光発電を導入しているのは2%

都道府県・市区町村のうち、設置可能な建築物や敷地の50%以上に太陽光発電を導入している自治体はたった2%。政令指定都市(20自治体)でやっと10%、つまり、2自治体。都道府県でいうと1つもありません。国の目標は「2030年度までに設置可能な建築物や敷地の50%以上」です。これでは国の目標達成はおぼつきません。電気代の高騰は自治体の財政を圧迫していますが、太陽光発電設備の導入はコスト削減にも結びつきます。導入の加速が必要です。

出典:令和7年度地域脱炭素の推進に関する状況調査調査結果報告書 概要版P20より

2030年目標達成のためには6倍の設置が必要

報告書では、設置済・設置予定(公共施設)の量(設備容量)は、およそ102万キロワットとしています(下図)。一方、国の「2030年までに設置可能な公共施設の5割に導入」という目標だと国と地方自治体あわせ、あとおよそ600万キロワットが必要です(注1)。つまり、あと5年足らずでこれまでのおよそ6倍、500万キロワットの導入が必要ということになります。年間100万キロワットずつが必要という計算になり、現状のような「微増」ペースでは目標実現はできません。

出典:令和7年度地域脱炭素の推進に関する状況調査調査結果報告書 概要版P22より

公共施設の屋根はまだまだ空いている

以下の表は、さまざまな公共施設の太陽光発電設備導入進捗状況です。設置可能な建築物の件数の半数(⑤)と、これまでの実績値と2025年度に導入見込みの件数(④)が書かれています。つまり⑤を2倍すると設置可能な建築物の件数がわかります。たとえば、社会体育施設では、設置可能な建築物が6,764件あり、これまでと2025年度中の導入あわせて775件なので、まだ約6,000件の屋根などが空いていることになります。体育館は災害時の避難所としても使われるので、太陽光発電設備と蓄電池をセットでつければ、停電時でも医療機器や携帯電話の電源、さらに冷暖房の電源の一助にもなり得るのに、地域の防災力を高める機会を逃してしまっているのではないでしょうか。ほかの施設の屋根もまだまだ、空いていると言えます。

出典:令和7年度地域脱炭素の推進に関する状況調査調査結果報告書 概要版P29より

省エネ化も遅れています

残念ながら、太陽光だけでなく、公共施設の「省エネ化(ZEB化)」も遅れています。2025年度に設計された新築建築物でZEB認証を取得または認証相当が全体の12%となっています(下図)。

*ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、本来「建物で使うエネルギー」と「太陽光などで創るエネルギー」を差し引きゼロにする建物のことです(注2)。

出典:令和7年度地域脱炭素の推進に関する状況調査調査結果報告書 概要版P35より

報告書によると、自治体がここ数年間に設計した新築の公共建築物のうち、何らかのZEB基準を満たしたものは全体で「823件」、本来目指すべき、エネルギー収支が完全にプラスマイナスゼロになる本当の『ZEB』は、「60件」(下表)で、全体の1割にもなりません。

いま新築されている公共施設は、日本が「ネットゼロ(カーボンニュートラル)」を達成すべき2050年にも、残っている建物になります。

本当のネットゼロのビル建築には、予算や敷地など、いろいろな障壁はあるでしょう。しかし、まずは本当のネットゼロを目指し、どうしても難しければ、そこから段階的にレベルを落としていくという姿勢が強く求められているのではないでしょうか。

出典:令和7年度地域脱炭素の推進に関する状況調査調査結果報告書 概要版P37より

EV(電気自動車)化は、もっと遅れている

太陽光や省エネビル以上に遅れているのが、公用車の「EV(電気自動車)化」です。

役所の職員が移動などに使う「一般公用車」のうち、電気自動車(EV)が占める割合は、わずか2.9%です(下右表)。報告書では、ハイブリッド車なども含めた『電動車計』として13.2%となっていますが、全体の10%近く(9.5%)は、走行時にガソリンを燃やして二酸化炭素を出す「ハイブリッド車」でした。

つまり、電動車化が13.2%といってもそのうちの7割以上はガソリン車でした。ゼロエミッションをめざすのであれば、ハイブリッド車ではなく、EV化の加速が必要です。

出典:令和7年度地域脱炭素の推進に関する状況調査調査結果報告書 概要版P38より

再エネ電力調達は横ばい

公共施設で使う電気を再エネに変えている団体は、全体のおよそ3割(28.4%)です。そして、すべての電気を100%切り替えた先進的な団体は、まだ全体の1%未満(0.6%)にとどまっています(下図)。電気の再エネ調達は二酸化炭素の削減効果がとても高く、しかも、切り替えることでコスト削減に繋がった自治体の例もたくさんあります。まだ切り替えていない自治体には、検討を始めるよう、提案していきたいですね。

出典:令和7年度地域脱炭素の推進に関する状況調査調査結果報告書 概要版P42より

自分の自治体のデータを見てみよう

ここまで、報告書にある「役所自身の省エネ・再エネ化(事務事業)」に関する状況を見てきました。この概要版には、「自治体の区域内全体での脱炭素の取り組み(区域施策)」についても掲載されています。まさに、私たちの地域の脱炭素についての調査結果になりますので、ぜひ「区域施策」についても、ご覧ください。

令和7年度地域脱炭素の推進に関する状況調査調査結果報告書 概要版 の47ページから

ゼロエミッションを実現する会の事務局では、参加者さんの地元の自治体のデータをいっしょにみる会なども開催できますので、ご希望があればいつでもお声がけください。

注1)環境省「公共施設への太陽光発電の導入等について」より
注2)ZEBについて:省エネと太陽光などの創エネで、年間エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した建物のこと。基準の消費量から削減率100%以上の本当の『ZEB』のほか、75%以上の「Nearly ZEB(ニアリー ゼブ)」、50%以上の「ZEB Ready(ゼブ レディ)」、「ZEB Oriented(ゼブ オリエンテッド)」など、省エネレベルにより分類されている。
詳しくは、環境省「ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)」をご覧ください。

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